皆さんは、心肺蘇生法の訓練(研修)を受けたことがおありだろうか。
心臓突然死の多くが、致命的な不整脈(心室細動)によるものであり、救命には直後からの心肺蘇生法(CPR)と、AED(自動体外式除細動器)の使用が有効であることは、医療・介護に携わる人なら、常識かもしれない。
心肺停止(CPA)は、家庭内での高齢者の突然死(浴室の心肺停止)のみならず、働き盛りの人も年間約2万人も襲われているという。サッカー元日本代表の松田直樹選手の突然死は記憶に新しい。
しかし一方で、わが国では専門的な知識がなくても使用できるAEDの普及により、心配停止からの社会復帰率が高まっている。2009年、マラソン中に心停止を起こしたタレントの松村邦洋氏もAEDによる心肺蘇生により一命を取りとめた。
心肺蘇生法(CPR)は、人工呼吸法(口対口呼吸)と胸骨圧迫心臓マッサージ法、そして電気的除細動の3つが統合されたものを指し、1960年に確率した。
介護福祉士やヘルパーなど、職務上の必要から研修を受けた人、あるいは自動車運転免許取得時に実習として経験した人も多いと思われるが、これまでの心肺蘇生法は、「気道確保 → 人工呼吸 → 心臓マッサージ」の順で行われていた。
このCPRの国際ガイドラインが、AEDの普及などに伴ってこのほど50年ぶりに変更された。
大きな変更点としては、順番が入れ替わり、「胸骨圧迫(30回)→ 気道確保 → 人口呼吸」というもの。さらに口対口の人工呼吸は必須でなくなり、何を差し置いても、まずは胸骨圧迫による心臓マッサージを行うことが優先される。
さらに、AEDが身近にある環境であれば、「まず119に通報、そして胸骨圧迫、それからAED」を徹底することが推奨されている。
AEDは、心臓のリズムを自動的に解析して電気ショック(電気的除細動)が必要かどうかを判断する装置で、訓練されていない一般市民の誰でも扱えるよう、音声や表示で操作を教えてくれる。
数社から出回っているが、基本的に使い方はどれも同様で、
1)電源を入れる
2)電極パッドを患者の胸に貼る
3)自動解析ボタンを押す
4)除細動ボタンを押す
の順番で行う。パッドの貼る位置や除細動ボタンを押すタイミングも、装置をみれば分かるようになっている。
市民によるAEDの使用が可能になったことで、心停止からの蘇生率および社会復帰率は格段に高くなっている。ケアマネジャーも一市民として、ぜひ、地域のAED設置場所の把握と、消防署等での心肺蘇生研修等に参加することをおすすめする。
◎厚生労働科学研究院外心停止対策研究班(J―PULSE)心肺蘇生法
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