健康食品・サプリメントの株式会社ファンケルは、コムギ末粉抽出物に、脳梗塞軽減や加齢に伴う記憶学習能力低下を抑制する作用があることが明らかになったと発表した。
コムギの末粉は通常食用とされず、工業用の糊のりや畜産飼料として用いられている。同社では、このコムギ末粉を有効利用しようと考え、コムギ末粉抽出物が脳機能の低下に対してどのような影響を及ぼすかを研究テーマとして進めてきた。
今回、研究内容の一部を、麻布大学獣医学部の菊水健史教授と共同研究し、同社独自素材のコムギ末粉抽出物による脳機能改善効果について検証した。その結果、コムギ末粉抽出物には、脳梗塞軽減や加齢に伴う記憶学習能力低下の抑制という脳保護および脳機能改善作用を持つことが明らかになったという。
【研究の概要】
■研究の方法
1)脳梗塞軽減:マウスにあらかじめコムギ末粉抽出物を含有した餌または含有していない餌を与え、その後、脳梗塞手術を施した時の脳梗塞の程度を比較した。
2)記憶学習能力低下の抑制:老齢のラットに1カ月間コムギ末粉抽出物を含有した餌または含有していない餌を与え、記憶学習能力がどのように変化するかを比較した。また、加齢に伴い低下し、記憶学習能力の向上に関係すると考えられる「神経新生」も比較した。
■研究の結果と考察
1)脳梗塞軽減:あらかじめコムギ末粉抽出物を含有した餌を与えた場合、与えてない時に比べ、脳細胞が壊死した部分である脳梗塞巣が減少し、脳梗塞の程度が軽減した。
2)記憶学習能力低下の抑制:コムギ末粉抽出物を含有した餌を与えた場合、与えていない時に比べて、加齢に伴う記憶学習能力の低下を抑制した。また、コムギ末粉抽出物を含有した餌を与えた場合の方が、神経新生を促すことも分かった。
以上のことから、コムギ末粉抽出物には脳保護効果および脳機能改善効果があることを確認した。コムギ末粉抽出物を摂取することで、脳梗塞を予防する効果や加齢に伴う物忘れを軽減する効果が期待できるという。
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