講談社は、認知症ケアに関する2冊の書籍、『新しい認知症ケア<介護編>』『新しい認知症ケア<医療編>』を発行した。
まず、<介護編>は、2003年に発刊された『完全図解 新しい介護』の中の認知症の介護についての部分を大幅に充実させると共に、「介護の力」で認知症ケアを実践している現場を紹介するページをつけ加え、より認知症の介護についての専門性を高めた。
著者の理学療法士・三好春樹氏は、「介護職は、認知症のお年寄りの言動を、理解不能と決めつけることなく、彼らが私たちに何かを訴えようとしているのではないかと考えなければなりません」と訴える。また、こうした姿勢こそが、高齢者を落ち着かせ笑顔を生み出してきたという。これを三好氏は「介護の力」だと主張する。「私たちに必要なのは“人間学”なのかもしれません」と三好氏。それこそが、認知症ケアの真髄といえるだろう。
同書では、実践的なアドバイスを交えながら、「介護の力」を生かすケアについて解説している。また、全国の注目施設も紹介。
一方、<医療編>では、認知症ケアにおける「医療の力」を解説。著者は医師の河野和彦氏。約30年間、認知症専門医として多くの患者を診てきた著者の体験から生まれた「生きた知識」がふんだんに盛り込まれている。介護を困難にする症状も、適切な「医療の力」で改善すると、河野氏は言う。診断と治療を中心に、認知症に関する最新の知識をまとめた認知症百科だ。
<介護編><医療編>、ともにこれからの認知症ケアに欠かせない「力」を与える2冊だ。
■書名・著者:
『新しい認知症ケア<介護編>』・三好春樹
『新しい認知症ケア<医療編>』・河野和彦
■編集協力:東田勉
■目次:
『新しい認知症ケア<介護編>』
第1章 介護の立場からみた認知症の分類
第2章 制度の活用と施設選び
第3章 認知症高齢者の心理を知る
第4章 生活づくりの認知症ケア
第5章 認知症対応の変遷
第6章 介護と医療
『新しい認知症ケア<医療編>』
第1章 認知症の診断
第2章 原因疾患別症状
第3章 認知症の薬物療法
第4章 予防法と非薬物療法
第5章 医療と介護
第6章 認知症に関する団体や支援サイト
■仕様:ワイド変型/288ページ
■発行:講談社
■定価:各3,150円(税込)
■関連記事
・三好春樹氏、認知症ケアの最深部を鋭くえぐる——「認知症ケアの最前線」レポ(1)
・認知症ケアを全国各地に取材『ルポ 認知症ケア最前線』岩波新書より発行