<服薬管理>生活習慣病患者の半数が処方薬の飲み残しを経験――ファイザー調べ

ファイザー株式会社は、生活習慣病患者、医師、薬剤師を対象に、処方薬の飲み残しに関するインターネット調査を実施し、その結果を発表した。

2012年春の診療報酬改定において、約500億円分ともいわれる飲み忘れ等による薬の無駄をなくして、医療費削減に繋げることを目的に「残薬の確認」制度が導入された。制度導入により特に期待されているのが、自覚症状がない中で長期間の服薬が求められることの多い生活習慣病患者たちの実態だ。医師と薬剤師が連携して対処することにより、飲み忘れを防ぐ効果が高まると期待されている。

今調査は、制度導入から半年以上が経過する中で、飲み忘れに対する意識・実態がどのようになっているかを明らかにするためのもので、生活習慣病患者300名及び医師100名、薬剤師100名の計500名を対象に、10月18日~10月19日に実施された。

調査の結果、生活習慣病患者の約半数が薬の飲み忘れを経験しており、6割が「数日飲み忘れても問題ない」と考えていることなどが明らかになった。また、3割の患者に飲み切れずに余らせた経験があった。専門家からは、「残薬確認について患者と薬剤師に大きなズレがあった点については注視すべきことだ」という指摘が寄せられている。主な結果は以下の通り。

1)生活習慣病患者の46.3%が薬の飲み忘れを経験
≪患者の意識≫
46.3%もの患者が生活習慣病の薬を飲み忘れた経験がある。理由は「うっかり」が75.5%。しかも、60.4%が数日飲み忘れても問題ないと考えており、正しい服薬の重要性が十分に認識されていない実情が明らかとなった。処方薬の飲み残しが引き起こす合併症発症リスクについて、認識している患者は25.9%に止まった。また、飲み残しが薬剤費の無駄遣いになるという意識も19.4%と低かった。

≪医師・薬剤師の意識≫
「服薬アドヒアランス(※)は維持されており、それほど問題ではない」と考える医師が36%、薬剤師が41%もおり、患者の状況が医師や薬剤師に十分伝わっていなかった。
※服薬アドヒアランス:患者が積極的に治療方針の決定に参加し、了承することで、正しく服薬すること。

2)生活習慣病患者の18%が自己判断で服用を減量・中止
≪患者の意識≫
生活習慣病は、自覚症状がないことも少なくないため、自己判断で服用量を減らしたり、服用をやめてしまいがちだが、それにより重篤化や合併症を引き起こすリスクが高まる。調査の結果でも、服用の減量・中止をした患者が合わせて18.3%存在した。その理由としては、「症状が改善されたから」と「面倒だったから」がともに38.2%で、治療に積極的に参加していなかったり、服薬内容を積極的に了承していない姿が伺えた。

3)患者と薬剤師では残薬確認の認識にズレがある
≪患者の意識≫
薬を飲み切れずに余らせたことがある患者は30.3%に達していて、多くの残薬が実際に発生していることが明らかになった。今年の4月以降に薬剤師から「残薬の確認」を受けたと答えた患者はわずか24.0%に止まった。

≪薬剤師の意識≫
患者の意識とは裏腹に、薬剤師は91.0%が「残薬の確認」を行っていると回答し、認識のギャップが明らかになった。

4)お薬手帳の活用は不十分なのが現状
≪患者の意識≫
患者のお薬手帳の認知度は99%にのぼったものの、薬の処方時いつも持参している患者は46.6%に留まった。

≪薬剤師の意識≫
全ての患者の服薬管理にお薬手帳を活用している薬剤師は49%で、十分にお薬手帳が活用されていない状況にあった。

■今回の調査結果についてのコメント 
【慶應義塾大学薬学部 社会薬学講座 教授 福島紀子氏】
薬剤師による「残薬の確認」について、残薬の確認を受けたと答えた患者が2割に止まったことは注視すべきこと。お薬手帳についても、生活習慣病の患者が十分に活用できていないというのが現状だった。コミュニケーションの齟齬をなくす責任は一義的には医師や薬剤師の側にある。例えば、飲みにくい薬がある場合には、飲みやすい剤型に変更したり、複数の薬剤を服用している場合は、医師と連携を取って薬剤の整理をしたり、複数の薬を組み合わせて一つにした配合剤への変更も改善の選択肢の一つとなる。患者とのコミュニケーションを密にし、服薬アドヒアランスを向上させることの大切さを調査結果は示している。

◎ファイザー株式会社

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