幻冬舎は、誰もが迎える死についての提案書、『「平穏死」という選択』を発行し、話題になっている。
「命を延ばす」だけが正しいことなのだろうか……。8割の人が、自宅で死にたいと願いながら病院で死んでいるという現実がある。本人の意思を確認できないまま、老衰末期の高齢者に胃ろうなどの人工栄養が機械的に処置されている。
安らかな最期を実現するために、患者自身や家族はどのような知識をもって終末期の医療とかかわるべきなのか。また、看護師や介護士はどのような思いで患者と接しているのか、医師はどのような思想を持つべきなのか、法制度はどうあるべきか。
東京の特別養護老人ホーム常勤医である著者は、前著『「平穏死」のすすめ』で、終末期の高齢者の自然な看取りの実践を報告し、「平穏死」という言葉を広めた。同書では、平穏死とは何かをさらに掘り下げながら解説し、今の日本で高齢者が平穏な死を迎えにくい背景を、医療や介護、法律など様々な側面から分析している。著者の「往生の哲学」が、いずれ死を迎える私たちすべてに問いを投げかける一冊だ。
■書名:『「平穏死」という選択』
■著者:石飛幸三
■目次:
第一章 八割の人が「平穏死」できない理由
第二章 「口から食べられなくなったら」──胃ろうの是非を考える
第三章 「老い」は病気か
第四章 終末期医療と介護のカベ
第五章 「平穏死」は殺人か
第六章 「看取り」と向き合う
第七章 生き方の大きな変革
■定価: 880円 (税込)
■仕様:新書/ 248ページ
■発行:幻冬舎
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