東京大学大学院経済学研究科の澤田康幸教授らは、首都圏のある鉄道会社のデータを用いて分析した結果、駅に青色灯を設置後、ホームにおける鉄道自殺者数が平均で約84%減少することを報告した。これは、2000年から2010年のデータを用いて分析を行ったもの。
鉄道駅や踏切における列車への飛び込み自殺は、多くの国で社会問題の一つになっている。特に日本では、自殺による列車の運休や30分以上の遅延などの輸送障害は、2006年度は534件であったが、09年度には682件と、3年間で3割近くも増えている。
青色灯は、人の気持ちを落ち着かせる効果があるとして、これまでJR各社をはじめ、さまざまな鉄道会社が駅や踏切において設置を進めてきた。しかし、その効果は、これまで科学的には証明されていなかった。
今回の発表は、鉄道駅における青色灯の自殺防止効果を統計解析によって示した初めての研究となる。
駅の自殺防止策としては、ホームドアの設置が効果的であると言われてきたが、ホームドアを設置するにはプラットホームの改良なども必要とするため、多大な費用がかかる。一方、青色灯の設置にかかる費用は、ホームドアに比べれば低く、今後の自殺防止対策において費用対効果の高い方法と言えそうだ。
◎東京大学
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