市販薬を活用してセルフメディテーションに役立てよう——東京都「おくすり講座」レポ(2)

東京都が10月23日に開催した「薬と健康の集い」では、「おくすり講座・知っておきたい薬の知識——市販薬と上手に付き合いために」として、一般都民に向けた薬の講義が行われた。
「セルフメディケーション」が推奨され、一般医薬品(市販薬)の販売制度が見直されるなど、日々の健康管理に市販薬が果たす役割が大きくなっている。講演の後半では、薬局で薬を購入する際のガイドとなる一般医薬品(市販薬)の販売制度などについて説明された。

■市販薬を上手に利用するために
・「かかりつけ薬局」を持つ
処方箋の薬と比べて安全性が高いのが市販薬だが、やはり問題が起きることも。市販薬は、近所の薬局で気軽に相談できるのもメリットのひとつであり、その特質を生かすためにも「かかりつけ薬局」を持つのがおすすめ。

・市販薬の守備範囲を知る
便秘や偏頭痛など習慣性があって程度が変わらない症状や、花粉症など季節的な症状、月経痛など周期的な症状、風邪などの軽症の流行性疾患などが市販薬の守備範囲。ただし、頭痛でも初めて体験するような痛みや、市販薬で痛みが取れない時は医師に相談する。

■セルフメディケーションと一般医薬品の販売制度
セルフメディケーションとは、自分の健康に責任を持ち、不調は自分で手当てすること(WHOによる定義)で、そのために市販薬を活用することが推奨されている。その背景のもと、市販薬の適切な選択・使用に資するため、医薬品の販売制度が見直され、2006年に「薬事法の一部を改正する法律」が成立。2012年6月から「一般用医薬品の販売制度」が完全施行された。
以下、講演で解説された一般用医薬品の種類と販売の違いについてまとめた。

・一般用医薬品(市販薬)はリスクの程度に応じて3つ(第1類・第2種・第3種)に分類される。

第1類医薬品:特にリスクの高い医薬品で、消費者は、製品を直接手に取ることはできず、薬剤師が販売する。また、薬剤師は情報の提供や相談に応じることが義務づけられている。相互作用を防ぐため、第1類医薬品を購入する際は、他に飲んでいる薬や健康食品についても相談したい。

第2類医薬品:リスクが比較的高い医薬品で、なかでも特に注意が必要なものは指定第二類医薬品としている。販売に対応するのは薬剤師と登録販売員で、情報提供は努力義務とされている。

第3類医薬品:リスクが比較的低い医薬品で、販売は薬剤師と登録販売員が対応する。

それぞれの医薬品は、消費者に区別がわかるように陳列する決まりになっている。

■知っておきたい注意が必要な市販薬
・酔い止めの薬は、緑内障や前立腺肥大の持病がある人は服用を避ける。特に前立腺肥大の持病があると尿が出なくなる「尿閉」になり、生死に影響することも。
・風邪薬やかゆみ止めなどの抗ヒスタミン剤も前立腺肥大の人には使わない。
・整腸剤で納豆菌配合のものは、ワーファリン(血栓を防ぐ薬)を服用している場合、相互作用を起こすので服用を避ける。

■お薬手帳で薬歴を管理する
・お薬手帳には調剤薬だけではなく、市販薬も記録して薬歴の管理に役立てる。商品名だけでも記入するといい。自分で書くのが手間な場合は、薬局に手帳を持参して薬剤師に記入してもらうこともできる。
・薬局や医師にかかる時は、お薬手帳を持参し、薬剤師や医師に見せる習慣にする。
・複数のお薬手帳に記入せず、記録は1冊にまとめる。保険証と一緒に保管し、非常時にできるだけ持ち出せるようにする。

■飲み忘れた場合はどうする? 日常での薬の疑問
講演後、会場の聴衆から薬についての質問を受け付けた。その一部を紹介する。
「食後に飲む薬を忘れてしまった場合はどうすればいいのか」という質問では、「食事しておなかの中にものがなくなるのは、大体2時間。厳密に食後30分ではなく、多少遅れても問題はない」とのこと。通常の市販薬の場合、水を飲むか少しものを食べてから服用するといいという実際的なアドバイスがあった。「ただし、『食直後』の服用を指示されている薬で、胃に負担が来る心配がある場合は薬剤師に相談すると安心です」。

「カプセルの濃い色が苦手。カプセルを開けてオブラートに包んで飲んでもいだろうか」という質問では、カプセルに色をつけているのは薬を間違えないよう、識別のため。色素は体に害がないので安心してほしい、との回答に続いて「カプセルに入れることで、溶けるまでの時間が決まっていたり、胃ではなく腸で溶けるように設計されている。また、胃にかかる負担が少ないよう、カプセルで補っている場合もある。カプセルを開けて飲むのはやめた方がいい」とのことだった。

活発に質問の手が上がり、多くの人が薬について関心を持っていることがわかった今回の講座。高齢者やその家族への実際的なアドバイスとして役立てられそうだ。

◎東京都

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