東京都社会福祉協議会は、9月26日、第7回高齢者福祉研究大会「アクティブ福祉 in 東京 ‘12」を、都内のホテルで開催した。
同大会は、学会形式を取り入れた研究大会で、都内の介護現場での日ごろの取り組みや実践、施設全体での研究や、個人・グループによる研究など、さまざまな取り組みを発表する場として、2006年から開催されている。
第7回目となる今年は、実践研究全95題、ポスターセッション全10題の発表が行われた。また、「特別講演」では、“笑う介護士”として全国に知られるカリスマ介護士の袖山卓也氏が登壇した。
研究発表は、経営・リスクマネジメント、ケアプラン・相談援助、医療・ターミナルケアなど10のジャンルに別れ、それぞれ15分の持ち時間のなかで発表と質疑応答が行われる。
来場者は、会場内を自由に行き来し、興味のある実践報告や研究発表を聞いたり、取組内容を紙ベースでまとめて展示するポスターセッション、福祉関連企業の製品やサービスの展示などを見て廻ることができる。関連書籍の販売や福祉職場の情報コーナーなどもあり、有意義な一日を過ごすことができる。
研究発表に参加するには、事前に研究内容について、定められたフォーマットに従って「状況と課題」「研究の目標と期待する成果・目的」「具体的な取り組みの内容」「取り組みのい結果と考察」「まとめ・総論」「提案と発信」などの項目に従って、レジュメを提出。当日はパワーポイントの資料を示しながら、発表者と共同研究者の2名が登壇し、発表を行う。
「ケアプラン・相談援助」部門の発表のなかでは、もっとも新しい高齢者へのアプローチ法とも言える「ダイバージョナルセラピー」について、特別養護老人ホーム「つきみの園」の山梨敬さんが発表を行った。
「ダイバージョナルセラピー」とは、その人らしいレジャーやライフスタイルに焦点を当て、これまで基本と考えられていた「食事・排泄・入浴」等のケアと同じくらい、その人が好きなこと、やりたいことが重要であると考えるアプローチ法。
同施設では、自ら言葉を発信しない入所者に対して、思いや表情の変化を引き出すにはどうすればいいかを、委員会を立ち上げて検討。日本ダイバージョナルセラピー協会の協力を得てアセスメントシートを作成するなどして取り組んだ結果、ライフスタイルに着目したアセスメントという新しいケアの手法が誕生しつつあることを発表した。
「ケアプラン・相談援助」部門で次に発表を行った「生活相談員スキルアップ研修会Aグループ」(東京都社協高齢者施設福祉部会、生活相談員研修会が主催)は、「自分を表現することが難しい方の人物像を代弁します」をテーマに発表を行った。ここでも、これまでの施設ケアを一歩踏み出し、一人ひとりの人物像に光を当てたケアを模索している様子を披露した。
「アクティブ福祉」は、主に施設職員の日ごろの仕事の成果や研究発表の場であるが、他の部門の研究発表でも、画一的なケアになりがちな施設ケアを脱却し、在宅ケアのような細やかなアプローチに取り組んでおり、施設ケアの手法の進歩・進化がうかがえた。
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