沢井製薬株式会社は、過去3 ヶ月以内に薬を処方・調剤された患者400 名、医師300 名、薬剤師300 名を対象に、ジェネリック医薬品に対する意識調査を実施し、このほどその結果を発表した。
同社ではジェネリック医薬品の動向を調べるため、毎年11 月に定点調査を実施。今回の調査は、2012 年4 月の制度改正(診療報酬改定)の前後でジェネリック医薬品を取り巻く環境でどのような変化が起こったかを調べることを目的に、7 月に臨時に実施した。
2012 年4 月制度改正のポイントは下記の通り。
・処方せん様式の変更
改正前:ジェネリック医薬品への「変更が不可」の場合、医師がサインをする。
改正後:ジェネリック医薬品への「変更が不可」の薬にチェックを入れ、医師がサインをする。
・保険薬局における「薬剤服用歴管理指導料」の算定要件を変更
保険薬局が「薬剤服用歴管理指導料」を算定する要件として、「ジェネリック医薬品に関する情報の説明」が盛り込まれた。
・保険薬局における「後発医薬品調剤体制加算」の算定要件を変更
直近3 ヶ月間のジェネリック医薬品の調剤数量の割合に応じて、算定できる「後発医薬品調剤体制加算」の算定要件が変更され、ハードルとともに点数も引き上げられた。
・医師が一般名で医薬品を処方した場合の加算を新設
医師が「ブランド名」ではなく「一般名」で医薬品を処方した場合、「処方せん料」として2 点を算定できるようになった。
【調査の概要】
■調査対象
患者:過去3 ヶ月以内に医療機関で薬を処方・調剤してもらった30〜60 代男女 400 名
医師:全国の30〜60 代男女の医師 300 名(勤務医 200 名/開業医 100 名)
薬剤師:全国の20〜60 代男女の薬剤師 300 名(病院・診療所勤務 100 名/保険薬局勤務 200 名)
■調査方法:インターネット調査
■調査実施日:2012 年7 月13 日(金)〜17 日(火)
主な調査の結果は以下の通り。
■薬剤師からジェネリック医薬品に関する説明を受ける機会が増加
2012 年4 月以降、薬剤師からジェネリック医薬品について「説明される機会が増えた」患者は14.0%にのぼり、「以前と変わらず説明されている」と回答した患者も含めると、36.1%がジェネリック医薬品に関する説明を薬剤師から受けていることがわかった。
患者がジェネリック医薬品のことを見聞きした先は「テレビ番組・CM」が変わらず多いが、「薬剤師」経由が2011 年11 月の28.6%と比べ、10 ポイント以上増加の39.1%と高くなっていることからも、4 月以降に薬剤師が積極的にジェネリック医薬品のことを説明していることがうかがえる。
■4 月以降、一般名で処方を行った医師は50%超、応需した薬剤師は80%
2012 年4 月以降に「一般名」で処方を行ったことがある医師は51.7%で、開業医では72.0%にのぼった。また薬剤師においても、「一般名」で記載された処方せんを応需した薬剤師は80.0%。保険薬局では96.5%にものぼった。
勤務医と開業医、病院・診療所勤務と保険薬局勤務の薬剤師の間に大きな差が生じたことから、制度改正により「一般名処方」に対する経済的インセンティブが付与された結果、一般名処方が増えたと推察される。
■8.1%の患者が制度改正後にジェネリック医薬品を初体験
ジェネリック医薬品への変更を「不可」にした処方せんが「(変更不可が)全くない」(変更可能)と答えた医師は、2012 年3 月以前発行分では42.3%だったものの、2012 年4 月以降に発行した分では62.0%と20 ポイント近い大幅な伸びとなった。
「一般名処方」を活用する開業医は当然とし、勤務医においてもジェネリック医薬品の処方が伸びていることから、制度改正の影響にかかわらずジェネリック医薬品を利用する医師が増えてきたと考えることができる。
一方、薬剤師において変更可能な処方せんを応需した際にジェネリック医薬品を調剤した割合は、2012 年3 月以前の応需分では8.4%の薬剤師が「ジェネリック医薬品を全く調剤しなかった」ものの、2012 年4月以降に応需した分では2.0%となった。とくに保険薬局勤務者では99.5%がジェネリック医薬品の調剤を行っており、制度改正が後押しし、ジェネリック医薬品の調剤が増えていると考えられる。
それらが後押しし、制度改正のあった「2012 年4 月以降にジェネリック医薬品を初めて使用・服用」した患者は8.1%、「これまでに服用したことがある」患者は合計42.9%となった。
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