下村恵美子氏が語る地域で支えるケアと看取りの作法――「認知症ケアの最前線」レポ(3)

8月18日に行われた「認知症ケアの最前線-三好春樹+宅老所よりあい講演会」で最後に登壇した下村恵美子氏。21年前に「宅老所よりあい」を立ち上げた下村氏は、当時と比べて最近のお年寄りは「薬漬け」になっていることが気になる、と述べた。

「ただ歳をとっただけなのに20種類以上の病名をつけられ、18種類もの薬を飲んでいる人も。本人には理由がある行動を『問題行動』とされて薬を使われ、怒ってばかりだった人が、うちに来てまず薬を抜き、その人の生活を支えていくうちに『本人に戻った』ケースもあります」

下村氏の危惧は医療だけではなく、介護保険が始まって以降のケアのあり方にも及んだ。「その人が持っている力を見ながらケアするのが介護の専門職ですが、プランどおりに行うことが目的になっていると感じることもあります。本人は今日お風呂に入りたくないのに、プランどおりに入れなくてはならない。家族もケアマネもお年寄りの敵になりうるんです」

ケアを巡る状況はさまざまな問題を抱えているが、村瀬氏(講演会レポ(2))・下村氏が希望をつなぐのは「地域」。よりあいでは、ボランティアを広く受け入れるなど、日常的に地域とつながる活動を行っており、歳を重ねるとともに認知症の症状が出たボランティアをよりあいと家族、地域で支えた例も語られた。

「お年寄りの体に日々触れる介護職だからわかることを家族や地域に広げていきたい」(村瀬氏)
「地域で支えたひとりのおばあさんの死を、関わった人皆で看取った。それができたのは、閉じ込めない、薬漬けにしない、最後までその人が動き、食べるのを支えていくケアがあったから」(下村氏)

認知症」のふしぎで豊かな世界を、子細な描写で再現した村瀬氏、時に医療者など高齢者と関わる人と対峙しながら、生と死をつなぐケアのあり様を語った下村氏。
会場には笑いと共感が広がり、「必要なのは、認知症ケアというよりも常識を取り戻したケア」(下村氏)という言葉の意味を噛みしめさせられた講演だった。

◎雲母書房

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