厚生労働省が行った第6回の提言型政策仕分けでは、「医療と介護の連携」についての話し合いがもたれた。先ほど公開された議事録より、抑えておきたいポイントを紹介する。
総論としては、「要介護状態や持病を抱えながらも、最後まで住み慣れた地域・住宅などで、自分らしく、満足度の高い生活を過ごすために、適切な医療や介護サービスが提供され、QOLの高い在宅生活を実現する体制が前提となる。今後、団塊の世代が高齢化していく中、自宅が病室となり、道路が病院の廊下と同じようになるよう、地域における医療と介護の連携の仕組みの道筋を早急に付けることが求められる」としている。
詳細の議論は以下の通り。
【地域包括ケア体制における民間の関係】
地域包括ケア体制の中には、買い物難民、独居老人、認知症の方の見守りなどを中学校区といった日常生活圏域で、地域包括支援センターを中心になって、民間の力を組織化していくことも含まれている。
【市町村と都道府県の関係】
立ち遅れている在宅医療を強化しようとしている。医療は都道府県が大きなエリアでやっているが、地域密着、介護に密着して計画づくりをする必要がある。在宅医療の拠点施設を各市町村1箇所ぐらい設けて、そこを拠点に、地元の市町村、医師会などがネットワークを作り、介護や福祉の方々と連携していく。そうした拠点を全国105箇所で試してみて、普通モデルを先に作ろうと考えている。
在宅医療においては、都道府県との緊密な連携の下に、市町村が積極的に取り組んでいく。
【在宅と入院の関係】
在宅医療を強く打ち出したことで、病院に入院したくてもできなくなる、家族がいないと手厚い介護が受けられない、看病をしてもらえないという不安を持つ若い人がいる。あくまでも、本人の希望をかなえるためのもの。がんの末期でも在宅で生活できるし、独り暮らしでも在宅は可能な体制になっている。しかも、病院にいたければそれも可能だということ。
【質の高い人材の育成】
現在、MSW(医療ソーシャルワーカー)の役目は退院までだが、退院から次までを上手につなげられるようにする。退院時のカンファレンスには地域のケアマネ、訪問看護の方が来るという形なので、医療と介護の連携をコーディネートする専門職の育成が必要。医療と介護では、言語が違っていて、通訳書が必要だという話もある。
これらの議論を踏まえて、各論の概要は以下の通り。
【地域における取り組みについて】
これまでの「医療完結型医療」から「地域完結型医療・介護」の流れを作ることが必要。具体的には、地域の医療・介護資源の把握及びその情報提供、健康寿命への延伸の観点から、健康増進・介護予防に取り組むこと。病院と同様に地域で安心して生活できる環境を構築するためには、24時間対応の定期巡回・随時対応型訪問介護・看護サービスが今後全国的に普及していくようにするべき。
【質の高い人材育成】
臓器別専門医だけでなく、総合的な診療能力を持つ医師の育成が必要。医師の意識が、家族に寄り添い、患者の生活を支える方向に向かう必要がある。医療と介護の連携を担う専門職の育成や質の向上、介護職においては医療に関する基礎知識など、専門性の向上が求められる。
【家族への支援】
介護のために離職しなくても済むように、介護休業制度を含む両立支援制度を一層普及させる。国民的な議論を開始する時期に来ている。
【厚生労働省について】
医療と介護の連携を推進するために、連携推進室のようなプロジェクトチームを設置することを検討するべき。
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