公益財団法人東京都医学総合研究所は、8月22日、立教大学、徳島大学との共同研究によって、パーキンソン病発症を抑える分子メカニズムを世界で初めて解明したと発表した。
今回の成果より、パーキンソン病の新しい診断法・早期発見法の開発に寄与することが期待される。
パーキンソン病は、神経伝達物質であるドーパミンを産生する神経細胞が失われることにより、安静時のふるえや歩行障害(すり足、小股、前屈姿勢など)、姿勢保持障害(例えば歩き出したり後方に引かれたりすると、止まれずに突進してしまう)、動作緩慢(字を書く、歯を磨くなどの細かい作業が困難になる)など、様々な運動障害が起こる病気であることが知られている。
病状が進行すると自立した生活が困難になり、最終的に車いすや寝たきりの生活になる恐れがあり、日本国内だけでも15万人を超える患者がいる難治性の神経変性疾患である。また、高齢者ほど患者数が多く、65歳を超えると1%以上の人が罹患するといわれている。
社会の高齢化が進むにつれて患者数は増え続けており、病気が発症する仕組みの解明と、早期診断法や根本的な治療法の確立が社会的に強く求められている。
パーキンソン病にはいくつかのタイプがあり、発症原因も1つではないと考えられているが、今回の研究では、その仕組みを分子レベルでより詳細に解明した。今回の成果は遺伝性パーキンソン病に関するものだが、これにより遺伝性パーキンソン病の発症メカニズムの理解が進み、より一般的な孤発性パーキンソン病についても同様の仕組みが発症に関与している可能性は十分にある。
同時に、新しいパーキンソン病の病理解析ツールや診断マーカーの開発につながる発見でもあり、今後、早期の診断薬や病理解析ツールとして利用できることが期待される。
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