膝の痛みをやわらげる介護予防――老年学公開講座レポ(2)

地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都老人総合研究所)は、7月19日、第121回老年学公開講座「あきらめない介護予防」を開催した。

2つ目の演題は、同センター研究所福祉と生活ケア研究チーム研究副部長の大渕修一氏による「膝の痛みをやわらげる介護予防」で、高齢期の膝の痛みのメカニズムと、痛みをやわらげ、健康に暮らすための秘訣が語られた。

高齢者につきものといえる腰痛と膝痛。つらさはどちらも同じだが、立ち上がったり腰かけたり、動きの起点となる腰の方がよりやっかいな印象がある。
ところが、東京都健康長寿医療センターが高齢者を長期間追跡調査した結果によると、腰の痛みは年々治まっていくのに対し、膝の痛みはある程度まで低下しても、その状態のまま何年にもわたって持続し、治まらないことが判明したという。
「また、膝の痛みがある場合、生活能力を示す手段的ADLの点数が低くなり、うつ傾向では高い点数が出ることが明らかに。膝の痛みはうつや要介護の危険因子になることがわかっています」

介護予防において、大きなポイントとなる膝の痛み。続いて、膝の痛みの起こり方や痛みをどう軽減するかが解説された。以下にそのポイントをまとめる。

運動は関節の心臓
痛みがあると運動を控えてしまいがちだが、急性期を過ぎたら、積極的に運動することが必要。膝の場合、関節液が滞ると痛みがよけい悪化するので、運動することで関節液を循環させるのがポイント。椅子に座って膝を上げ下げする、膝から下を前後に動かすという運動でも効果がある。

高齢の女性に多い膝の痛み
関節の痛みは、女性に多いのが特徴。その理由は、「女性は閉経すると女性ホルモンの分泌が減る影響で靭帯が弱まり、伸びてしまうことに。靭帯が伸びると関節がぐらつき、膝がずれることで痛みにつながります」。
膝のずれを防ぐにはサポーターが有効だが、サポーターを長時間着用すると筋肉が萎縮してしまい、逆効果に。
「そこで、筋肉のサポーターで予防します。膝には、体の前側に膝を伸ばす大腿四頭筋、後ろに膝を曲げるハムストリングスがあり、この2つの筋肉を同時に収縮させることで、サポーター機能をもたせて膝を安定させます」。

ハムウォーキングで痛みを改善
2つの筋肉が同時に収縮し、膝が安定させる効果があるのが「ハムウォーキング」。足首におもりをつけて歩くことで、ハムストリングスの収縮をうながす。おもりは片足1〜2kgが目安。同センターで実証実験を行い、1日20分まで週40時間のハムウォーキングを3カ月間行ったところ、痛みが30%軽減する効果が得られた。

痛みによい運動と悪い運動
運動のやり方や強さによっては痛みを増してしまい、逆効果。そこで、運動の前と後に関節の動きをチェック。運動を始める前に、膝を曲げた状態から少しずつ伸ばし、「ちくり」と痛みが始まる角度を記憶する。痛みで動かせなくなる角度ではないので、注意すること。この角度が運動後に広がるようであれば、痛みにいい運動と判断することができる。

◎東京都健康長寿医療センター

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