トロミ調整食品などの高齢者・介護対応食品を製造・販売する日清オイリオグループ株式会社は、介護士・ヘルパーを対象に「節電が必要になる今年の夏、在宅介護で注意するべきこと」に関する調査を行い、その結果を発表した。
同調査は、2011年より定期的に行っている在宅介護事情調査の第3弾。調査の結果から、今年の夏の在宅介護で、介護士・ヘルパーがもっとも不安に思うことは体温・室温調整であり、対策としてこまめに水分を飲ませるなどの水分補給と、涼しい環境づくりを重視していることがわかった。しかし、要介護者本人の自覚や、居住環境、経済的な問題などにより、思うように調整できない現状も明らかになっている。
調査結果には、専門家のアドバイスも掲載され、水分補給のポイントや涼しい環境づくりのためのポイントなどを参考にしたい。
【調査の概要】
■実施日:2012年6月7日(木)〜10日(日)
■調査方法:PC調査
■調査対象者:全国18歳以上の専門職員(介護士・ヘルパー)で、65歳以上の要介護者の在宅介護に関わっている人100名
■節電の夏、介護に関わる上で不安に思うこと第1位は「体温・室温調整」
今年の夏、介護に関わる上で不安に思うことの1位は「体温・室温調整」(86%)、2位は「熱中症」(81%)、3位は「水分補給(脱水)」(78%)だった。例年の夏場の介護で注意していることの1位は「水分補給(脱水)」(92%)、次いで「体温・室温調整」(70%)で、今年は節電を受けて「体温・室温調整」をもっとも心配していることがわかった。
■「体温・室温調整」のポイントは「水分補給」と「涼しい場所の確保」
夏場の介護における体温・室温調整について、家族への具体的アドバイスとして「水分補給」(93%)と、「涼しい場所の確保」(80%)の2つの回答が80%を超えた。3位は「洋服の素材を工夫する・着替えやすい服装にする」(54%)となっており、介護士・ヘルパーは夏場の暑い季節、衣服の問題より、まず脱水予防としての水分補給、次いで涼しい場所の確保を重視していることがわかった。
■「体温・室温調整」が困難な理由には、居住環境や経済力の問題も
介護士・ヘルパーの75%が体温・室温調整について、「工夫をしているが困難、あるいは工夫したいが実際にできない」と回答。その理由は大きくわけて以下の4つだった。
・要介護者本人の問題(暑さや寒さの自覚が無い、エアコンがきらい、独居生活で管理できないなど)
・居住環境の問題(エアコンの取り付けや涼しい場所の確保が困難など)
・家族の問題(体温・室温調整の大切さの認識不足など)
・経済的な問題(エアコンの電気代の捻出が難しいなど)
■水分補給で家族へのアドバイスは「こまめに飲ませる」「手の届くところに置く」
体温・室温調整に対して基本となるのは水分補給。介護士・ヘルパーからのアドバイスの1位は「こまめに飲ませる」(80%)、2位は「手の届くところに水分を置いておく」(62%)だった。高齢になると「トイレが近くなるのでいやがって(水分を)飲まない」「のどの渇きがわからない」など、水分補給に関する問題が多くなる。そのような状況であることをふまえ、家族が要介護者の水分補給に気をつけてあげることが今年の夏のポイントになりそうだ。
【専門家のコメント】
赤羽 克子・聖徳大学社会福祉学科教授(介護福祉学)
夏の介護は、水分補給と体温・室温調整が重要な課題だ。高齢者はのどの渇きや暑さ・寒さを感じにくい人も多いため、専門家でも調整が困難。特に水分補給を怠ると脱水により思わぬ病(脳梗塞など)を引き起こすことがあるので、3度の食事と10時・15時の間食で各200ml程度の水分補給(最低でも1,000ml/日)の確保が大切だ。
さらに、食事の際に汁物や果物をメニューに取り入れる、水筒やペットボトルなどを準備し、要介護者がこまめに水分をとれる環境を作る必要がある。嚥下困難がある場合はトロミ調整食品を上手に活用したい。
室温調整に関しては、エアコンが使えない場合、窓を開けて通気性をよくしたり、扇風機を利用するなど室温が上がらない環境を作るほか、衣類の通気性も重視したい。
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