国民生活センターは、家庭用健康器具による事故の相談件数が増加していることを受けて、消費者に購入前、使用前に注意すべき点等の情報提供している。
家庭用健康器具は、テレビショッピングをはじめ、インターネットやホームセンター等、様々な場所で購入することができる。その一方で、全国消費生活情報ネットワーク・システムには、2007年度以降の約5年間、290件の危害・危険情報が寄せられている。中には、「ゴム製のエクササイズ器具で目を強打し、視力が低下した」「ばねの反動を利用して腹筋を鍛える器具を使用中、反動によりバランスを崩して顔面を強打し、けがをした」といった深刻な事例もある。また、健康器具でけがをしたことから、品質に問題があるのではないかとのテスト依頼があり商品テストを実施した結果によって、製品改善が行われたケースもある。
国民生活センターは、家庭用健康器具を使う前の注意表示の確認するよう呼びかけている。
■相談の概要:
・約7割が通販で購入している。特に、テレビショッピングで購入したケースが多い。
・被害者の年代は40歳代・50歳代・60歳代がそれぞれ約2割ずつを占め、平均年齢は51.0歳だった。また、約7割が女性であった。
・危害部位は、腰部・臀部や腹部、大腿・下腿などの体幹部や四肢での症状が多い。
・危害が発生した器具はルームランナーが最も多く、「転んですりむいた」、「関節痛になった」という事例が多い。器具によって使用する部位が違うため、器具によって様々な症状が出ている。
■事故事例:
事例1)使用対象ではない健康状態の人が使用した
自分は脊椎の病気で通院中であり、医者からストレッチ運動をしたほうがよいと言われていたので、注文した。また、テレビ放送で30分以内に申し込むと半額になると放送していたので、思わず買ってしまった。1回使用したら、腰が痛くなった。取扱説明書を見たら、“背骨に異常のある人は必ず医師と相談の上使用する”と書いてあった。しかし、テレビ放送時にはそのような事は言っていなかった。返品・返金してほしい。
事例2)運動目的で購入したが腰痛になった
乗馬型の運動器具を運動不足解消目的で購入した。朝晩15分ずつ使用すると健康によいと聞いたので使用したところ、半年くらいで腰痛になった。いったん使用をやめ、腰痛が治ってから再び器具を使用したところ、また腰痛になった。
■問題点:
・消費者は取扱説明書の注意表示などを購入前に確認することができない場合がある。特に、テレビショッピングでは実際に器具を使用する際の具体的な注意事項について十分説明されていない可能性がある。
・消費者は購入前に注意事項を十分に確認していない場合が多い。また、購入後も取扱説明書や、保証書・領収書をすぐ処分してしまい、トラブルが起こったときに対処できなくなる場合がある。
・商品の強度が不足していたり、取扱説明書等の記載内容が不十分なケースが見受けられる。
■消費者へのアドバイス:
・健康器具は体に負荷をかけるものであることを理解し、購入するか慎重に考える。また、自分の既往歴や健康状態で器具が使用できるか確認する。
・取扱説明書等に書かれた使用方法を守る。
・その時の自分の体や健康状態に合わせて、自分の体力以上に運動しない。また、運動中に異常を感じたらすぐに中止する。
・使用後はストレッチ等で体をほぐす。また、購入時にはあらかじめ保管場所を考える。
・使用方法や製品について問い合わせをする場合もあるため、取扱説明書等の書類は必ず保管しておく。
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