ヒトの脳が他人の価値観を学ぶ仕組みを科学的に解明――理化学研究所

理化学研究所脳科学総合研究センターは、ヒトの脳が、「他人のココロのシミュレーションによる学習」と「他人の行動観察による学習」を統合して、他人の価値観を学ぶことを世界で初めて科学的に解明した。

「相手の気持ちを考える」、たとえば、価値観を共有する恋人、あるいは考え方の違う職場の上司、私たちはいろいろな他人の心や行動を予測する。しかし、「私たちは『他人の心』を直接は見られないのに、なぜ予測ができるのか?」、研究員の素直な疑問がこの研究の出発点となった。

古くからさまざまな議論があり、他人の心のプロセスをあたかも自分のプロセスとして再現する“シミュレーション説”とシミュレーションは不必要で、他人が何にどう反応するかのパターンのみを学習する“行動パターン説”がそれぞれ支持を得てきた。しかし、科学的検証が難しく、どちらの説が正しいか、ヒトの脳でどう実現されるか、未だ謎のままだった。

今回の研究では、それぞれの説の脳計算モデルを構築し、被験者が他人の価値判断を予測するfMRI実験を行い、モデルの挙動と行動データの比較から、実は2つの説を統合した脳計算モデルが最も適切であること、つまり、ヒトはシミュレーション学習に行動パターン学習を加えることで他人の価値観を学習することを突き止めた。

さらに、脳活動の分析から、前頭葉内で、シミュレーション学習が確かに「自分の価値判断」と同じ領域で、行動パターン学習が別領域で実現されることを発見した。これは、脳計算モデルとして具体化された、2つの学習の情報処理機能がヒトの脳に存在すること、そして、2つの学習が異なる脳領域で処理されることを示している。「私たちが、多様な価値観をもつ他人に応対できるのはこの2つの脳機能が補完しあうから」と研究グループのチームリーダーは語っている。

この成果は、将来、対人関係障害などの精神疾患の究明や、多様な価値観を学び対処する社会性をもつコンピューターやロボットの開発への貢献が期待される。今後、介護人材確保が困難になれば、高齢者一人ひとりの特性に対処できる「介護ロボット」なども視野に研究・開発が進むことも考えられる。

◎(独)理化学研究所

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