厚生労働省は6月22日、第91回社会保障審議会介護給費分科会を開催した。今回は、前回に引き続き「介護従事者処遇状況等調査の実施について」と、18日に発表された「今後の認知症施策の方向性について」が議題となった。
介護従事者処遇改善等調査に関しては、同分科会介護事業経営調査委員会で5月29日に話し合われた介護事業者実態調査(案)について、設問項目等の確認が行われた。介護事業経営調査委員会で出された内容については、概ね今回の調査(案)に取り込まれていたが、小規模多機能型居宅介護や有料老人ホームなど、調査対象から除外されているサービス事業所について、なぜ調査しないのかという声が再度あがった。これに対し、事務局は、「今回は処遇改善加算の状況調査のため、前回調査と比較できる対象ではない」と、現状の対象からは外される意向を示した。
また、介護職員等の厚生年金等社会保険加入状況もぜひ調査してほしいという声も挙がったが、こちらも「今回は調査の趣旨が異なる」と受け入れられなかった。
いくつか設問の選択肢に変更が加えられ、実態調査は前回とほぼ同様の内容で10月に実施予定。
続く議題は、18日に発表された「今後の認知症施策の方向性について」。まず内容に関して、勝又認知症対策室長が概要を丁寧に説明し、その後、委員全員からコメントや要望が出された。
「今後の認知症施策の方向性について」概要
※厚生労働省該当ページよりダウンロードして参照のこと
まず、ほぼ全員の委員が、画期的な部局横断のプロジェクトチームが、約半年足らずでこのような成果を出したことを高く評価した。同じ厚生労働省内であっても、それほど部局横断(今回は老健局、医政局、保険局、社会・援護局など5部局横断のプロジェクトチーム)は通常、困難なことであることがうかがえた。
なかでも「認知症の人は精神科病院や施設を利用せざるをえない」というこれまでの流れを断ち切ることを、はっきりと国の施策として表明したことに、多くの委員が敬意を表した。しかし一方で、概要図の基本目標の2点目にある「これまでの不適切なケアの流れ」という表現には、違和感を覚える委員も多く、たとえばこれまで現場で試行錯誤し、新たな認知症ケアの方向を示してきた特養ホームなども十把一絡げで「不適切なケア」と断じるのかと、せめてもっと表現を変えられないかとの意見が出た。
――社保審レポ(2)へ続く
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