厚生労働省は、このほど「平成23年(2011年)歯科疾患実態調査」の結果を発表した。調査の結果から、80歳で20本以上の歯を有する「8020達成者」の割合は38.3%と3人に1人で、前回の2005年の調査結果の24.1%から14%増加し、過去最高であることが明らかになった。
歯科疾患実態調査は、国民の歯科保健状況を把握し、今後の歯科保健医療対策の推進に必要な基礎資料を得ることを目的に、1957年より6年ごとに実施している。
8020達成者の割合は、75歳以上80歳未満、80歳以上85歳未満の数値から推計した。
【調査の概要】
・調査対象:全国を対象として、平成23年国民生活基礎調査により設定された単位区から無作為に抽出した300単位区内の世帯および当該世帯の満1歳以上の世帯員
・調査者数:4,253人(男1,812人、女2,441人)
調査結果から、高齢者に関する主なトピックスは以下のとおり。
■虫歯は若年層で減り、中高年層で増加
う蝕(虫歯)は、20歳以上80歳未満の各年齢階級では8割以上で見られ、過去の調査と比較すると、5歳以上25歳未満の各年齢階級では減少する傾向を示したが、45歳以上の年齢階級で増加傾向を示し、前回調査と比較すると65〜74歳、75〜84歳、85歳以上の年齢階級で増加が見られた。
過去に虫歯になったことがあるかどうかを数値化した1人平均DMF歯(DMFT指数)は、近年減少傾向を示しているが、50歳以上の各年齢階級においても減少する傾向がみられた。
虫歯の処置状況は、若年層では充填が多かったが、高齢者ではクラウン、とくに架工義歯(ブリッジ)の支台となるクラウンが多かった。
■8020達成者は、女性より男性の方が多い
20 本以上の歯を有する者の割合は増加傾向にあることが判明した。75 歳以上80 歳未満、80 歳以上85 歳未満の年齢階級の数値を単純平均することで80 歳での数値を推定すると、1 人あたりの平均現在歯数は13.9本、20 本以上の現在歯を持つ者の割合での推定値は38.3%となった。
また、80 歳以上の1 人平均現在歯数は、80〜84歳の男性は13.6本、女性は11.0本、85歳以上の男性は9.2本、女性は8.0本。20 本以上の歯を持つ者の割合は、80〜84歳の男性は35.0%、女性は23.8%、85歳以上の男性は17.9%、女性は16.4%で、いずれも、男性のほうが女性よりもやや高い数値を示した。
インプラントの状況では、15歳以上の者で、インプラントが入っていると回答した者は2.6%。65〜74歳で4.4%ともっとも高い割合を示した。
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