サービスありきでアセスメントしていない?――認定ケアマネの会研修レポ(2)

5月12日に開催されたケアマネジメントキャリアアップ研修「ケアマネジメントとは何か」。ここでは研修の後半に行われた、5、6人ずつでのグループワークの様子を紹介する。

この研修の到達目標は、ケアマネジメント実践上の課題を明らかにすること。的確なアセスメント力を身につけるには、事例検討会で事例を深め、展開していく力を養うことが役に立つ。グループワークは、事例を深める上で自分に足りないアセスメントの視点、分析力に、他者との対比の中で気づくことを目的に行われた。

まず事例提供者から、模擬事例のプレゼンが行われた。時間は10分。「事例検討では検討課題を明確化し、10分で要点をまとめてプレゼンする力が求められる」と白木氏。聞く側は頭の中で情報を整理し、何を質問すればこの事例がわかるかを考えながら聞くことが大切。そして、スーパーバイザー(以下、SVor)は情報を板書し、図式化していくことで、同席者が情報を共有しやすくする。出席者全員で板書の情報を共有すること、つまり配布された事例の資料に個々で情報を書き込むのではなく、全員が顔を上げて事例提供者のプレゼンを聞けるようにすることも重要だという。

研修では、このあと事例を深める質問を個々に検討。それをグループ内で発表し合い、どんな質問が必要かを集約していく。家族状況、身体状況、経済状況など、まずどこに注目するかは人によって違う。自分と他者の視点の違いに気づくことによって、自分に足りない視点を知ることができるというわけだ。

その後は各グループからの質問に事例提供者が応答。ここでのポイントは、一問一答で質疑応答を行うこと。限られた時間での事例検討では、質問を絞り込み、優先順位が高い情報を的確に得ていくことが大切だ。答える側も、検討課題解決に向け、コンパクトに答えて焦点がぼけるのを防ぐ姿勢が求められる。

各グループとの質疑応答のあと、さらに不足している情報をSVor役の白木氏が尋ねていく。各グループからの質問が現時点での困りごと、家族状況、身体状況など、現在情報に集中していたことから、本人の生活歴など、どういう時代に、どんなことを大切にしながら生きてきたのか、という質問が中心となった。「現在情報だけでなく、過去も含めた本人を中心とした情報がないと、支援のための見立てはできない」と白木氏。

また、グループから出された「本人と子どもの関係はどうですか」という質問に対して、「事例提供者が主観で答えることになる質問ではなく、たとえば『母の日には子から連絡があるか』等、客観的事実を尋ねて、そこから関係性を把握することが大切」との指摘もあった。

このあと、各グループで事例を深める質問を再度検討し、発表するという作業が行われた。最後の講評で白木氏は、「みなさんは、目先の困りごとへの手だてを考え、どのサービスで対応するかを思い浮かべながら質問を発してはいないか」とズバリ。対象者に近づこうという姿勢があっても、支援に必要な情報を的確に得る質問力を身につけないと、近づくことはできないと訴えた。

研修の最後に参加者からは、「中身が濃い。来てよかった」「多様な見方があると感じ、グループワークの大切さを痛感した」「全国にこれだけ意欲的なケアマネジャーがいると感じられ、パワーをもらった」など、生き生きとした感想が口々に語られた。

次回研修は9月15日(土)。的確に事例をまとめる方法と技術の習得を目標に開催される予定だ。

◎認定ケアマネジャーの会

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