ケアマネは特養申込の順番確認まですべき?――第90回社保審分科会ルポ(2)

5月17日に開催された第90回社会保障審議会介護給付費分科会では、後半、平成23年度老人保健健康増進等事業「特別養護老人ホームにおける待機者の実態に関する調査研究事業〜待機者のニーズと入所決定のあり方等に関する研究〜」について、栃本一三郎上智大学総合人間科学部教授が報告した。

この調査は平成23年度に、特養ホームへの入所申込者の申込経緯や特養への期待などを明らかにし、同時要介護者の在宅・施設でのケアのあり方やケアマネジメントのあり方を検討することを目的としたもの。調査対象者は申込者本人、申込者家族、そして担当ケアマネジャー・施設職員。

ここでは、居宅ケアマネジャーへの設問・回答に絞って紹介する。

特養入所を申し込んだ利用者の居宅ケアマネジャーの判断(有効回答478)
「しばらく自宅での生活は可能だが、将来のために申込したほうがよい」45.4%、「自宅での生活が難しくなっているため、施設への入所が望ましい」43.3%、「入所の必要性は低いが、本人・家族が強く希望しているので、申し込みを支援したほうがよい」3.6%、その他3.3%。
この結果からは、「今すぐに入所は必要ないが、将来のために施設に申し込む」行為に、ケアマネジャーの半数近くが後押ししていることがうかがえる。

■居宅ケアマネジャーが考える、現在の入所の可能性(有効回答556)
特養に入所することが望ましい」46.4%、「可能であれば、自宅で生活することが望ましい」43.7%、「特養以外の施設に入所することが望ましい」8.8%、無回答1.1%。

特養申込後の居宅ケアマネジャーの支援内容
「入所を待っている期間の介護サービスの利用に関する相談」82.8%、「申込先の特養に対して、本人の現状の報告」46.4%、「申込先の特養に対する入所の順番等の確認」33.2%、その他5.1%。
この結果に対し、報告では「ケアマネジャーが、利用者の申込先特養の順番確認や、本人の現状報告をしている割合は低い。申込先と申込者との間で、定期的な連絡が必要と考えられるため、必要に応じてケアマネジャー等が支援する仕組みがあることが望ましい」としている。

■施設入所検討時に特養以外の施設を検討したか(有効回答478)
特別養護老人ホームだけを検討する」63.8%、「特養以外の施設も候補として考えられる」21.1%、その他5.4%。
ここでは、「検討の所期段階で、施設入所に関する幅広い選択肢が定時されていない場合が多いのではないか」との疑問が述べられている。

■現在の状況から判断した在宅申込者の望ましい生活の場(有効回答556)
特養に入居することが望ましい」46.4%、「可能であれば自宅で生活することが望ましい」43.7%、「特養以外の施設に入所することが望ましい」8.8%、無回答1.1%。

■自宅で十分な介護サービスを受けられるとした場合の望ましい生活の場
「訪問や通所、ショートステイ等のサービス等を利用して、できるだけ自宅で生活する」56.7%、「自宅から施設に転居し、施設で最期まで生活する:」22.3%、「ホームシェアリング等のサービスを利用して、施設と自宅を組み合わせて生活する」12.8%、その他2.9%、無回答5.4%。

平成22年度の同様の調査では、特養待機者は全国に約42万人おり、その多くが軽度のうちから申し込んだり、複数の特養に申し込みをしている実態が明らかとなっているが、真に入所が必要な人は1割程度。今後、この構造を抜本から見直し、真に入所が必要な人がスムーズに入所できるための議論が必要となろう。

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