内閣府は、このほど「平成23年度社会意識に関する世論調査」の結果を発表した。
同調査は、社会や国に対する国民の基本的意識の動向を調査し、広く行政一般のための基礎資料とすることを目的とするもので、年に1回実施している。
今回の調査では、約7割が社会への貢献意識を持っており、そのかなりの人が、老人や障害者などに対する介護や身の回りの世話を行うことで、社会のために役立ちたいと考えていることが明らかになった。
また、国の政策は民意の反映を感じにくいと回答した人が約8割と大半を占める中、医療・福祉については「いい方向に向かっている」と感じる人は2割強で、他のジャンルよりは高い結果に。
これらの結果から、国民の社会意識を論じる上で、医療・福祉の重要性が明らかになったと言えそうだ。
【調査の概要】
■名称:社会意識に関する世論調査
■実施日:2012年1月19日〜2月12日
■調査方法:調査員による個別面接聴取法
■調査の対象:全国20歳以上の者10,000人、回答者6,059人(回収率
60.6%)
主な調査結果は以下の通り。
■社会への貢献を考える人の4割が、社会福祉活動を意識
「国や社会との関わりについて」の調査では、「社会への貢献意識」について「日頃、社会の一員として何か社会のために役立ちたいと思っているかどうか」を聞いたところ,「思っている」と答えた人は67.4%、「あまり考えていない」と答えた人は29.9%だった。前回(2011年)の調査結果では「あまり考えていない」は31.8%で、2ポイント減少した。
「日頃、社会の一員として,何か社会のために役立ちたいと思っている」と答えた人(4,082人)に、「社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことか」を聞いたところ(複数回答)、「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護、身の回りの世話など)」をあげた人は35.8%、「自然・環境保護に関する活動(環境美化、リサイクル活動など)」は34.2%、「町内会などの地域活動(お祝い事や不幸などの手伝い、町内会や自治会などの役員、防犯や防火活動など)」が34.0%と高かった。
以下、「自主防災活動や災害援助活動」(27.3%)などの順となっている
性・年齢別に見ると、「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護、身の回りの世話など)」をあげたのは女性の20歳代、40歳代から60歳代で多かった。
■ 約7割が地域での付き合いを尊重。震災による影響も
地域での付き合いをどの程度しているか聞いたところ、「付き合っている」と答えたのは69.3%(「よく付き合っている」18.3%+「ある程度付き合っている」50.9%)、「付き合っていない」と答えたのは30.7%(「あまり付き合っていない」24.9%+「全く付き合っていない」5.8%)だった。
また、「東日本大震災前と比べて、社会における結びつきが大切だと思うようになったか」聞いたところ、「前よりも大切だと思うようになった」と答えたのは79.6%、「特に変わらない」19.7%、「前よりも大切だとは思わなくなった」と答えた人は0.5%となっている。都市規模別に見ると、「前よりも大切だと思うようになった」と答えた人の割合は中都市で高くなっている。
■民意の反映を感じにくい国の政策。医療・福祉については一定の評価
「国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか」を聞いたところ、「反映されている」と答えたのは15.5%(「かなり反映されている」1.1%+「ある程度反映されている」14.4%)、「反映されていない」と答えたのは81.9%(「あまり反映されていない」55.1%+「ほとんど反映されていない」26.8%)だった。
現在の日本の状況について、「良い方向に向かっていると思われるのはどのような分野か」を聞いたところ(複数回答)、「科学技術」をあげた人が23.1%、「医療・福祉」をあげた人が22.5%と高く、以下「防災」(15.2%)、「通信・運輸」(14.2%)、「治安」(13.6%)の順となっている。なお、「ない、わからない」と答えたのは27.7%だった。
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