「非常に不安」介護は58.3%――セーフティネットに関する意識調査

日本労働組合総連合会(連合)は、セーフティネットに関する意識調査を実施し、その結果を発表した。

同調査は、セーフティネットに関する意識を探ることで、社会保障制度と税制改革についての議論や取り組みに生かすことがねらい。調査の結果から、多くの人が自分の現在や将来に不安を感じていること、不安の中身や必要としているセーフティネットは年代などにより多様であることがわかった。しかしながら、全世代を通じて、年金や介護医療についての不安は大きなものであり、社会保障の給付と負担のバランスを考える上で、大きな要素であることが判明した。

調査では、社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくため、財源をどこに求めていくべきかについても質問しており、社会保障と税の一体改革を考える上で参考となるものになっている。

【調査の概要】
調査方法:インターネットリサーチ
調査時期:2012年2月2日〜2月7日
調査対象:20歳以上の男女、1,000名(男性500名、女性500名)
*調査協力機関:ネットエイジア株式会社

主な調査の内容は以下の通り。

■年金は65.9%、介護は58.3%が「非常に不安を感じる」と回答

「日本の将来に不安を感じることがあるか」を訊ねたところ、94.4%が「不安を感じることがある」と回答し、「不安を感じることがない」は5.6%。「自分の現在や将来の生活について不安を感じることがあるか」との質問では、「不安を感じることがある」は90.4%と、いずれも9割を超えた。

「不安を感じることがある」と回答した904名に、生活に関する不安の程度を質問したところ、「非常に不安を感じる」の割合を項目別にみると、「仕事を引退したら、生活に必要な年金が支給されるか」が65.9%で最も高かった。次いで、「体が不自由になったときに、必要な介護が受けられるか」が58.3%、「自分の意思に反して仕事を失うこと」が47.8%、「病気になったときに、必要な医療が受けられるか」が45.9%、「仕事と子育てを両立するための支援が受けられるか」が36.0%だった。

「体が不自由になったときに、必要な介護が受けられるか」では、全体の93.4%が「非常に不安を感じる」「やや不安を感じる」と回答。「非常に不安を感じる」と回答した人を性別・年代別に見ると最も高かったのは、30代女性の72.7%。また40代女性で69.1%、50代女性で66.3%、男性でも30代で62.6%、50代で63.0%と6割以上が回答した。

「病気になったときに、必要な医療が受けられるか」は、「やや不安を感じる」も含めて「不安を感じる」と回答したのは全体の88.3%。男女別では、男性84.5%、女性92.0%と女性のほうが高かった。年代別では、30代以上はすべて9割以上が「不安を感じる」と回答した。

■不安の原因は、財政赤字・景気低迷・高齢化社会

自分の現在や将来の生活について「不安を感じることがある」と回答した904名に、自分の将来の生活に関連して、社会保障の面で感じる不安の原因となっているものを複数回答形式で訊ねたところ、「日本の財政赤字」(78.7%)、「景気低迷」(73.2%)、「少子高齢化社会」(72.0%)が7割以上となり、「行政に対する不信」(62.4%)、「不安定な雇用や収入」(56.1%)、「日本の債務残高」(48.9%)、「日本の長期的な経済成長力の低下」(47.2%)が続いた。

次に、全回答者に対し、維持すべきだと思う社会のセーフティネットとしてあてはまるものを複数回答形式で聞いたところ、「老齢年金」(73.1%)が最も多く、次いで「公的医療保険」(63.6%)、「介護保険」(63.3%)、「出産・子育て支援」(60.4%)、「高齢者医療」(59.4%)、「雇用保険」(58.0%)、「教育支援」(47.2%)、「就労支援」(47.2%)だった。

■7割以上が、「現在の税・社会保険料負担では社会保障水準を維持できない」と回答

全回答者に対し、「現在、日本では、社会保障制度を通じ、現役世代約3人で高齢者1人を支えている。2025年には、現役世代約2人で高齢者1人を支える必要があるといわれている」と説明を行った上で、「現在の税・社会保険料負担のまま、現在の社会保障水準を維持できると思うか」を訊ねたところ、「はい」4.0%、「いいえ」73.6%、「わからない」22.4%だった。

「現在の税・社会保険料負担のまま、現在の社会保障水準を維持できない」と回答した736名に、社会保障の給付と負担のあり方について望ましいと考えるものを訊ねたところ、「社会保障給付の水準を“現状維持”とし、税・社会保険料の負担を“増やす”」(21.7%)、「社会保障給付の水準を現在よりも“引き上げ”、それに見合う税・社会保険料の負担を“受け入れる”」(18.9%)、「税・社会保険料の負担を“現状維持”とし、社会保障給付の水準を“抑える”」(16.3%)と意見が分かれた。

年代別にみると、20代では、「税・社会保険料の負担を“現状維持”とし、社会保障給付の水準を“抑える”」が最も高く22.2%と、ほかの年代より5ポイント以上高かった。また、40代では、「給付水準は維持または引き上げとし、負担を“増やす”」 は32.0%で、ほかの年代よりも負担を増やすべきとする回答が低い傾向がみられた。他方、60代以上では、「給付水準は“維持”または“引き上げ”、負担を“増やす”」との回答が55.5%と半数を超えた。

■6割以上が消費税・所得税を「財源として適切」と回答

全回答者に対し、「社会保障改革や社会保障の充実、財政健全化を実現していくために、財源をどこに求めていくべきだと思うか」、財源として考えられるそれぞれの項目について「財源として適切かどうか」を質問したところ、消費税を「非常に財源として適切であると思う」と回答したの18.3%、「やや財源として適切であると思う」(43.7%)と合わせて「財源として適切であると思う」は62.0%となった。

所得税については、「財源として適切であると思う」は65.1%となり、消費税を「適切であると思う」とする回答を若干上回った。また、相続税では、「非常に財源として適切であると思う」は19.3%、「財源として適切であると思う」は52.2%。

法人税は、「非常に財源として適切であると思う」は38.0%、「財源として適切であると思う」は81.8%となり、調査項目中最も高い数値だった。

また、経済成長による税収の自然増については、「非常に財源として適切であると思う」は35.4%、「財源として適切であると思う」は72.5%と、3番目に高い数値となった。

税金以外を財源とすることについてみると、「社会保障以外の歳出を削減し、社会保障に充てる」は「非常に財源として適切であると思う」が43.9%で、20代から60代以上のすべての年代で4割を超え、「財源として適切であると思うは全体では79.7%と、法人税に次いで2番目に高い数値となった。

社会保険や利用者の自己負担では、「財源として適切であると思う」はそれぞれ57.8%、56.9%といずれも半数を超えたが、「非常に財源として適切であると思う」はそれぞれ14.9%、13.4%と低い数値にとどまった。

◎日本労働組合総連合会(連合)

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