独立行政法人理化学研究所は、喫煙により肺胞壁が破壊され、慢性閉塞性肺気腫(COPD)の発症が早まることを明らかにした。
COPDは、酸素と二酸化炭素を交換する肺胞が破壊される肺気腫と慢性気管支炎の総称で、気道閉塞による呼吸困難を引き起こす。ウイルスや細菌に感染すると急激に症状が悪化し、死亡率が非常に高くなり、要介護高齢者にも、この症状を抱える人は多い。
COPD発症には喫煙などの外的要因とさまざまな遺伝的要因が関係していると考えられているが、喫煙との関係については不明だった。今回、同研究所の研究グループは、喫煙によりこのマウスの肺組織ではコアフコース糖鎖が減少し、それがタンパク質を分解する酵素を異常に活性化して、肺胞壁を破壊していることを突き止めた。
これらのことは、喫煙がCOPD発症を早めて症状を悪化させていることを示している。今後、さらに病態を調査することで、ヒトに対するCOPDの予防、早期診断、治療薬の開発につながるものとして期待される。
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