4月1日、株式会社かい援隊本部は、新しいかたちの介護の人材派遣事業を開始すると発表した。
団塊世代が75歳を迎える2025年には、介護人材は100万人不足すると予想されている。このままでは、要介護高齢者を誰も介護してくれない、施設もハードはそろっていても人材が足りないという状況が出現し、介護保険施行以前の「家族介護」のための介護離職が進むと見られている。
一方、増え続ける高齢者人口のうち、実際に介護保険を利用している「要支援・要介護状態」の高齢者は、現状で約16%。つまり、84%(約3,000万人)の高齢者は、介護を必要としない「元気高齢者」。
この「元気高齢者」を見逃す手はない。「知識・経験・人脈、そして多少の経済力もあるパワーシニアの力を少しずつ借りれば、介護の人材不足は解決するのではないか――」(同社代表取締役会長 新川政信氏)。そうして誕生したのが、リタイヤしたけれどもまだまだ元気で働ける多くのパワーシニアの力を結集し、働きやすい(人材が集まりやすい)モデルを構築し、介護現場に投入する「かい援隊百万人構想」(元気高齢者派遣事業)だ。
パワーシニアの多くは、「せっかく時間があるのだから、旅行も行きたい。孫にも会いたい」と結構多忙な方が多く、フルタイムの勤務は肉体的にも厳しい。一方、心の中では、「社会に役立てることがあるなら、それで少しでもお金になるならやってみたい」とも考えている。
そこで、「かい援隊百万人構想」では、元気高齢者が2人1組になって、月の半分(ハーフワーク)だけ、介護施設等でのサポートスタッフとして働いてもらう仕組み。勤務は時給840円(有資格者はプラス300円)で、1日8時間×月13日(週3回程度)なら8万6000円ほどになる。
「かい援隊百万人構想」の特徴は、まず「人材の集めやすさ」にある。働く場所は施設や通所で洗濯や掃除などを行う、介護現場の「サポートスタッフ」。要介護者の身体に直接触れる介護はできないが、年齢の近いスタッフとなら、入所者の良い話し相手にもなろう。
同社は、サポートスタッフの定着とサービスの質の向上に注力し、独自の研修システムを導入。2日間の入社時研修に加え、フォローアップ研修を毎月実施し、クライアントとなる介護施設や事業所のニーズに答える。
フルタイムの給与には及ばなくても、パワーシニアの多くは、年金もあり経済的には困っていない。しかし旅行に行ったり孫にプレゼントをするための余裕を得るなら、月の半分は社会に貢献し、給与を得るという働き方が、今後定着しそうだ。