3月17日、18日の2日間に渡って開催された第14回日本在宅医学会大会では、ポスターによる一般発表も行われた。このうち、ケアマネジャーに関連する発表をいくつか紹介したい。
■ポスター発表「医療と介護の連携〜ケアマネジャーの感じている困難感とは〜」
あおぞら診療所の片山史絵氏らの発表は、「医療と介護の連携においてケアマネジャーはどんなことに困難を感じているのか」を調査した結果。
2011年6月に市内のケアマネジャーに呼びかけ、「在宅医療連携ケアマネジャー連絡会」を立ち上げ、説明会に参加を希望したケアマネジャーを対象にアンケート調査を行ったところ、101人から回答を得た。
調査では、「ケアプラン作成にあたり、アドバイスを受けたいが相談できる相手がいない」「ケアプラン作成にあたり、医療上の注意点がよく分からないと感じる」など、20項目について、困難感が「全くない」「ときどき」「しばしば」「いつも」の4段階で評価してもらった。
その結果、下記3項目では、「いつも」「しばしば」と回答した人の割合が50%を超えていた。
○「医療ニーズが高い利用者のショートステイやデイサービスの受け入れ先がなかなか見つからず困る」
…全くない4.1%、ときどき26.5%、しばしば44.9%、いつも24.5%
○「老老介護や認認介護、独居者などの支援に困難を感じる」
…全くない0.0%、ときどき35.7%、しばしば38.8%、いつも25.5%
○「主治医との連携に困難を感じる」
…全くない4.0%、ときどき46.0%、しばしば33.0%、いつも17.0%
■ポスター発表「ケアマネタイム作成による医師とケアマネジャーの連携促進」
あおぞら診療所の丹野直子氏らは、「ケアマネタイム作成による医師とケアマネジャーの連携促進」をテーマに発表。
主治医との連携に困難を感じていることが多いことを受けて、市医師会の協力のもと、ケアマネジャーが医師に連絡・相談しやすい方法、時間帯について調査を行った。
調査では、往診が可能な医療機関42施設、訪問診療、往診を行っていない医療機関49施設から回答を得た。
まず、相談方法については、往診を行っている医療機関では「FAX」「電話」(いずれも28%)を希望する医療機関が最も多く、往診を行っていない医療機関では「FAX」(33%)、「外来同席」(27%)という結果だった。
次に、相談可能な時間帯は、午前と午後の診療時間の間にあたる「12時〜14時」が最も多く、全体の36%を占め、午前中(8時〜12時)に対応可能と回答した医療機関は全体の22%と少なかった。また、午後の時間帯(14時〜17時)に対応可能な医療機関は午前の時間帯に比べれば多く、診療終了後(18時以降)の時間帯に対応可能な医療機関も15%存在した。
続いて、主治医の都合に合わせて医療機関で担当者会議を開催する場合、「15分以内であれば対応可能」と応えたのは、往診可の医療機関で55%、往診不可の医療機関では39%だった。
さらに、医師への相談や療養上のアドバイスをもらうためにケアマネジャーが訪問診療に立ち会う場合、「15分以内であれば対応可能」と答えた医療機関は55%。「30分以内であれば対応可能」と答えたのは7%と少なかった。
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