独立行政法人理化学研究所は3月26日、日本人の関節リウマチに関する大規模な解析を行い、疾患発症に関わる9つの新たな遺伝子領域を発見したと発表した。また、既に報告されていた36の遺伝子領域についても再評価を行ったところ、新規の9領域と合わせて23の遺伝子領域が日本人の関節リウマチ発症に関与しており、そのうち15の遺伝子領域が欧米人と共通であることが明らかになった。
日本人と欧米人における関節リウマチ発症に関わる遺伝因子
関節リウマチは、関節に炎症が続くことにより関節破壊を起こす代表的な自己免疫疾患で、国内に約50万人の患者がおり、発症には多くの遺伝因子と環境因子が関与している。これまで、国内外の研究グループによって疾患発症に関わる遺伝因子が報告されてきたが、個々の遺伝因子が疾患発症に与える影響は非常に小さく、それぞれの研究では明らかにできていない遺伝因子が多くあると考えられてきた。
今回、より網羅的な探索を行うため、日本人の関節リウマチ患者集団9,351人と非患者集団38,575人のDNA試料を用いた。これは自己免疫疾患ではこれまでにない大規模解析であり、日本人の関節リウマチ発症に関与する遺伝因子の主要なものについては、ほぼ同定されたといえる。この成果は、個々の遺伝因子をターゲットにした日本人にふさわしい関節リウマチ治療法の開発に加え、これらの遺伝因子を用いて、個人の病態や薬剤の効果を予測する方法の開発などにつながっていくことが期待される。
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