東京都は、地域における認知症疾患の保健医療水準の向上を図るため、保健医療・介護機関等と連携し、鑑別診断、急性期医療、専門医療相談等を実施するとともに、関係者への研修等を行う「認知症疾患医療センター」を設置すると発表した。
認知症疾患医療センターは、認知症の人が地域で安心して生活できるよう、医療機関同士、さらには医療と介護の連携の推進役となり、地域の支援体制の充実を図るもの。
運営開始日は平成24年4月2日(月)からで、都内に10ヵ所設置する。「認知症疾患医療センター」の設置病院と主な役割は以下のとおり。
■東京都認知症疾患医療センター一覧(10カ所)
順天堂大学医学部附属順天堂医院(文京区本郷3-1-3)
東京都保健医療公社荏原病院(大田区東雪谷4-5-10)
東京都立松沢病院(世田谷区上北沢2-1-1)
浴風会病院(杉並区高井戸西1-12-1)
東京都健康長寿医療センター(板橋区栄町35-2)
大内病院(足立区西新井5-41-1)
順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター(江東区新砂3-3-20)
平川病院(八王子市美山町1076)
国家公務員共済組合連合会立川病院(立川市錦町4-2-22)
杏林大学医学部付属病院(三鷹市新川6-20-2)
■専門医療相談の実施:
認知症疾患医療センターには医療相談室を設置し、認知症に関する専門知識を有する精神保健福祉士等を配置。ここでは本人、家族、関係機関(地域包括支援センター、区市町村、保健所・保健センター、介護保険事業所等)からの認知症に関する医療相談に対応するとともに、状況に応じて、適切な医療機関等の紹介を行う。
■認知症の診断と対応:
認知症疾患医療センターでは認知症の診断を行うが、医学的な診断だけでなく、日常生活の状況や、他の身体疾患等の状況等も踏まえ、総合的に評価を行うとともに、関係機関と情報の共有化を図り、医療・福祉・介護の支援に結び付けていく。診断後は本人のかかりつけ医と連携を図り、日常の診療はかかりつけ医が担当することが基本となる。
■身体合併症・周辺症状への対応:
認知症の人の身体合併症及び周辺症状の治療については、認知症疾患医療センターで受け入れるほか、地域の認知症に係る専門医療機関、一般病院や精神科病院等と緊密な連携を図り、地域全体で受け入れる体制をつくっていく。
■地域連携の推進:
地域の医療機関や地域包括支援センター、区市町村、保健所・保健センター等の関係機関、家族介護者の会等との連携を図るため、協議会等を開催して、地域において関係者が密接に連携するネットワークづくりに向けた検討を行う。
■専門医療、地域連携を支える人材の育成:
認知症疾患医療センターの院内においては、専門的な知識・経験を有する医師・看護師の育成に努めていくとともに、地域においては、かかりつけ医の認知症対応力の向上を図るための研修等に取り組んでいく。
■情報発信:
認知症に関する正しい知識を理解してもらうための情報発信を行う。
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