東京都はシニア世代の危害危険情報を積極的に掘り起こすため、ヒヤリ・ハット調査を実施し、2月27日、その結果を公表した。
日常生活で経験した「ヒヤリ・ハット」体験はどこへも情報提供されることなく多数埋もれていることから、なかなかその実態が明らかにならない。しかし、シニア世代のヒヤリ・ハット体験は転倒・骨折から寝たきりになったり、浴室での転倒で頭を打ったり、調理中の火災など、思わぬ大事故につながりやすいため、現状を知ることの意義は大きい。
今回は、「シニア世代の身の回り」をテーマにヒヤリ・ハット体験を調査し、その結果と事故防止のポイントをまとめた都民向けパンフレットを作成した。
■調査結果:シニア世代の3人に2人がヒヤリ・ハットや危害を経験!
ヒヤリ・ハットや危害経験
(60歳以上3,000人を対象に調査)
調査の結果、60歳以上のシニア世代の66.3%の人が過去5年間に日常生活でヒヤリ・ハットや危害の経験があると回答した。調査では、約6,300件のヒヤリ・ハットや危害体験を収集した。その一例は以下のとおり。
・寒いので家でもコートを着ていたら、ストーブの火がコートに燃え移った。
・腰痛があり、少し休もうとガスコンロのそばを離れたら火を消し忘れて鍋を焦がした。
・扇風機の回転が止まったので、羽根を動かそうとガードの中に指を入れたところ、羽根が急に回転し始め、指を切った。
・ぐらついていたテーブルに手をついて立ち上がろうとして体重をかけたところ、テーブルが破損して転倒した。
都は、今回の調査を元に作成したパンフレット「シニア世代の身の回りの事故防止ガイド」を、都内の消費生活相談窓口、地域包括支援センター、老人福祉センター等へ配布し、都民への啓発に取り組む。また、事業者団体等へ調査結果を情報提供する。
なお、パンフレット「シニア世代の身の回りの事故防止ガイド」は、今週のCMO【無料書式】からもダウンロードできる。
■無料書式
「シニア世代の身の回りの事故防止ガイド」
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