薬の基礎知識と新薬開発の事例を解説――第120回老年学公開講座(1)

東京都健康長寿医療センターは、2月2日、板橋区立文化会館にて第120回老年学公開講座「健康のための匙加減〜クスリはリスク」を開催した。約3時間にわたり、3人の講師が異なる角度から薬の効用とリスクについて語った講座は、薬への理解が深まると同時に、高齢者が薬を服用する上での有益な情報を得ることができた。

■主作用と副作用があるのが薬

トップバッターを務めたのは、東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム研究副部長の石神昭人氏。「創薬は薬じゃない」のタイトルのもと、身近な例を挙げながら薬の性質をわかりやすく解説した。医薬品と保健機能食品や一般食品との違いでは、ビタミンCは医薬品のものも食品のものもあるが、効能・効果を表示できるのが医薬品、できないのが食品と説明。また、医薬品の場合錠剤にビタミンCが1g含まれるとしたら服用する段階で含有していないとならないが、食品はその限りではなく、「それだけ医薬品は保障がかかっているとも言える」。

次いで、魔術師や神官が「薬」を扱っていた古代文明に始まり、西洋医学の父と言われるヒポクラテスがアススピリンと同様の効果のあるものを使っていたギリシャ時代、中国の漢方、日本における薬の歴史に触れながら、「クスリはリスク」を伴うもので、「病気を治す主作用、起きてほしくない作用の副作用があることを知ってほしい」と語った。

また、薬の開発には、基礎研究に始まり、動物実験、臨床試験など多大な時間と費用がかかること、臓器移植の拒絶反応を防ぐ免疫抑制剤がカビから発見されたことなど新薬開発の苦労と意義について語った後、薬は他の薬との組み合わせや食品との組み合わせで効果に影響を受けることや、用法・用量を守って飲むことの大切さが説明された。

リウマチの治療薬が開発されるまで

東京都健康長寿医療センター膠原病リウマチ科副部長の杉原毅彦氏による講演「リウマチは不治の病ではなくなった」では、リウマチの治療薬を取り上げ、基礎研究からいかに薬が開発され、治療に飛躍的な効果をもたらしているかが解説された。

関節リウマチは女性に多い病気で、30〜50代に多く発症するが、近年は高齢化に伴い60〜80代で発症する人も見られるという。症状は朝のこわばりに始まり、関節の炎症や発熱、だるさなどで、手の指に病変が起こりやすく、指が腫れ、進行すると結節ができる。

関節リウマチは自己免疫疾患のひとつで、ウィルスなど異物を攻撃する免疫担当細胞のTNF−αとlL−6が情報伝達に異常をもたらし、体の一部を攻撃することが原因で発症する。発症機序が解明されたことで、かつては痛みを和らげるものしかなかった治療薬の研究が進み、1999年に免疫抑制剤、2003年には生物学的製剤が開発され、この10年間で主に早期での治療戦略が進んだことが説明された。

治療に有効な薬には、リスクも。「免疫を抑える薬なので、肺炎など感染症対策が必要になる。関節破壊が進んでいる人や長く患っている人、介護が必要な人が感染症にかかりやすい」と指摘し、治療薬の使用に慣れている専門医にかかるのが望ましいとのアドバイスもあった。

◎東京都健康長寿医療センター

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