長野県は、1月31日、不正に介護報酬を請求・受領していたとして、「アート企画株式会社」が運営する訪問介護事業所の指定を介護保険法の規定に基づき、2月29日付で取り消すと発表した。
同社は住宅型有料老人ホームを運営しており、併設の同事業所が入居者に対して訪問介護サービスを提供している。
取り消しの理由は、その訪問介護サービスのうち、午前8時から8時45分までの時間帯において、複数の利用者に対して同時に食事介助サービスを提供する「施設的なサービス」を行っていたこと、1人当たりの所要時間が介護報酬の算定用件の20分を満たしていないにもかかわらず、介護報酬を不正に請求し、受領していた。さらに、介護報酬請求の根拠となる、訪問介護計画を作成しておらず、また具体的なサービス内容やサービス提供時間を記録・確認していない場合もあったという。
県によると、不正受給額は、2009年12月から10年8月までの9ヶ月間で約500万円にのぼり、今後は、関係自治体が返還請求する方針だ。
一方、アート企画の塚田俊明社長は、昨年10月には県庁内の会見場で「何の根拠もない監査が行われている」と抗議文を公表しており、今後は法的措置を検討する意向を示している。
【事業者の概要】
■名称: アート企画株式会社
■所在地: 長野市川中島町原924-2
【事業所の概要】
■名称: 訪問介護事業所「マザーズ・アップル」
■所在地: 千曲市大字屋代1165
■サービスの種類 訪問介護
■指定年月日: 2009年5月16日
■指定取消年月日: 2012年2月29日
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