スナップ写真などを見ながら会話する「共想法」の考え方・手法を解説した『介護に役立つ共想法−認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション−』が、中央法規出版から発行された。
本書では、著者の大武美保子氏が、認知症の祖母との会話から考案した「共想法」というコミュニケーションの手法を分かりやすく解説している。「共想法」は、身の回りにあって気をつけていないと見逃してしまうような、さりげなく面白いものごとに気づき、写真に撮り、その写真を持ち寄って語り合う、そんなほのぼのとした日常会話を支援し、コミュニケーションを促すというもの。この手法を使うことにより、高齢になると低下しやすい3つの認知機能(注意分割・計画力・体験記憶)をさりげなく活用することができるという。
内容は、「理論編」と「実践編」の2部構成となっている。第1部では、コミュニケーションのむずかしさを理解し、課題や不安を解決し、利用者も介護職もほのぼのとした雰囲気のなかで、コミュニケーションを楽しめる方法を具体的に提案している。第2部では、第1部での方法を組み合わせ、アクティビティのようにコミュニケーションを実践し、アセスメントや日々のケアに生かしたり、利用者同士のつながりをつくるきっかけとなる共想法を紹介している。
本書の主な読者対象は介護職だが、コミュニケーションをむずかしいと考えている人、面白くしたいと思っている人すべてのニーズに応える内容となっている。
■書名:『介護に役立つ共想法−認知症の予防と回復のための新しいコミュニケーション−』
■目次:
第1部 コミュニケーションを面白くするコツ
第1章 日常会話のむずかしさ
第2章 聞くことと話すことのバランスをとる
第3章 聞く力をつける
第4章 話す力をつける
第5章 交流する場をつくる
第2部 「むずかしい」を「面白い!」に変える共想法
第6章 共想法とは何か
第7章 共想法を準備し実施する
第8章 共想法を活用する
■著者:大武美保子
■定価: 2,000円 (税別)
■仕様:A5判/210ページ
■発行: 中央法規出版株式会社
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