中央社会保険医療協議会は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用状況調査を発表した。
同調査は、後発医薬品に対して、医療機関・医師、保険薬局、患者それぞれの使用状況を調査し、後発薬品の使用が進まない理由等を把握して、2010年度の診療報酬改定の結果を検証することを目的にしたもの。全国の1,500の保険薬局、2,000の診療所、1,500の病院に対して調査票を配布し、3割〜6割弱の回答を得ている。また、708名の医師、1,788名の患者からも回答を得られた。
調査結果から、保険薬局では依然として後発薬品の調剤は進んでおらず、使用に積極的に取り組まない薬局が2割以上存在することがわかった。取り組まない理由としては、「近隣の医療機関が消極的」「在庫管理の負担」を挙げている。また、今後、後発医薬品への変更を進めるために必要なこととして、「患者への理解」「厚労省から品質保証が十分であることを周知徹底する」「メーカーからの情報提供、安定供給体制の確保」が必要といった意見が寄せられた。
病院の約8割は、入院患者への使用に「積極的」「一部を使用」と回答し、医師の約7割が後発医薬品への変更不可欄に署名したことはないと答えている。その一方で、処方しない医師が処方しない理由としては、「品質が不安」「患者からの強い要望」「先発品への信頼」などをあげていて、後発医薬品に対して、医師の疑問を解消していくためのさらなる取り組みが必要だと考えられる。
患者についての調査結果としては、後発医薬品の認知度は約7割であるが、使用したことがある人は約6割にとどまる。また、後発医薬品の処方を医師に頼んだ人は16.5%、薬剤師に頼んだ人は32.2%にとどまり、この数字は「できれば後発医薬品を使いたい」とする人が3割いる項目とほぼ一致した。
認知度を年齢別に見ると、30代、40代が9割と高いものの、年齢が上がるにしたがって認知度は下がり、60代前半83.2%、60代後半72.5%、70代前半69.7%、70代後半54.9%となっている。特に70代後半は「知らない」と答えた人が2割強に上り、他の年代が0〜7%と低いのと大きな差がついている。
薬局での対応では、後発医薬品の変更を頼んでもやってもらえなかったケースが27.8%あり、その際、薬局からは「医師の指示により変更できない」32%、「処方された医薬品が既に後発医薬品である」25.9%となっている。先発医薬品との価格を比較した表などを見せられたことはないと52.3%が答えている。
先発医薬品と比較しての後発医薬品の効果については、半数が「変わらない」「ほとんど変わらない」と答えており、「わからない」が35.3%と続き、「どちらかというと効かない」「効き目が悪い」という回答は10%以下にとどまった。
後発医薬品の処方や調剤を求めるものとして、「安くなるのであれば使用したい」と約3割が回答し、半数の患者が、「軽減額通知についての受け取りを希望する」と答えている。
後発医薬品への使用に関しては、「後発薬品にこだわらない」が4割、「できれば使いたい」が3割いる一方で、「できれば使いたくない」が1割いることもわかった。そして、「いくら安くなっても使用したくない」という回答も6.8%存在した。
今後は、「後発医薬品にこだわらない」と回答している4割の患者への働きかけが認知度や使用経験の向上につながると分析している。
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