医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営する株式会社ケアネットは12月2〜3日、当社医師会員1,000人に対し、抗がん剤と医薬品副作用被害救済制度に関する意識調査を実施した。有効回答数は1,000サンプル。
この調査は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構が運営する「医薬品副作用被害救済制度」につき、現在は抗がん剤による副作用被害が対象外であることに対する考えを調査したもので、その結果、医師の6割以上が現状を容認しているという結果となった。
抗がん剤による副作用被害が対象外であることに対して、医師の半数近くの44%が『不備だと考えるが、やむを得ない』と回答。『現状の制度に賛成』の22%とあわせ、医師の6割以上が現状を容認しているという回答結果になった。
賛成派、『やむを得ない』派、ともに多く見られる意見は「全身の状態が悪いがん患者に、毒性の強い抗がん剤を使用する以上、がんによる死亡か副作用による死亡かを判定することは難しい」とするもの。また、制度の対象になることで「新薬の開発が遅れる」「抗がん剤治療に消極的な医師が増え、結果的に患者の不利益につながるのでは」とする意見が寄せられた。
一方、現行制度に異を唱える医師は『死亡例に関しては救済すべき』12%、『死亡例に限らず制度の対象とすべき』20%という結果となった。しかしながら、いずれにも「理想はそうすべきだが、実際は抗がん剤と死亡の因果関係の証明が難しい」との意見が多く見られた。
回答内容によらず全体として見られたのは、「抗がん剤はそもそも毒性が強いもの。性質を考えれば副作用のリスクは不可避。それを理解した上で治療法を選択するのは患者自身」とするものだった。
※「医薬品副作用被害救済制度」とは、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、予期し得ない副作用による健康被害が生じた場合に医療費等の諸給付を行うもの。しかし副作用の強い抗がん剤は、上記制度の対象外となっている。
患者団体を中心として、抗がん剤による副作用被害に対する救済制度の創設が求められているが、11月18日に開かれた厚生労働省の「抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討会」では結論の取りまとめを来年夏までに先送りすることを決めている。
■関連記事
・怖いと思う病気はがんと脳卒中、女性は「認知症」――40代50代の健康に関する調査
・がんの痛みを鎮めるテープ剤の新薬承認取得――久光製薬