厚生労働省は12月1日、介護保険最新情報VOL.249として「ユニット型個室の特別養護老人ホームの整備に関するQ&A」を発出した。
今回は、「ユニット型個室の特別養護老人ホームにおけるユニットの共同生活空間の壁を可動式のものにすることについてどう考えるか」という問いに対して、以下の考えが示された。
1.ユニット型個室の特別養護老人ホームにおいては、適切なユニットケアとして、
・要介護高齢者の尊厳の保持と自立支援を図る観点から、居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常生活の中で入居者一人ひとりの意思と人格を尊重したケアを行うこと
・小グループ(ユニット)ごとに配置された職員による、利用者一人ひとりの個性や生活のリズムに沿ったケアの提供
などが必要とされているところであり、そのための介護報酬の設定もなされているものである。
2.ユニットの共同生活空間の壁が可動式である場合においては、当該壁を開放して、従来型個室のような形態にしてしまうことも可能であり、実態上、ユニットケアとして職員の配置(※)や入居者の処遇が適切に行われないおそれがある。その場合、従来型個室に比して、ユニットの介護報酬を手厚くしていること等に反することも考えられる。
(※)ユニット型個室の特別養護老人ホームにおいては、入居者が安心して日常生活を送ることができるよう、継続性(馴染みの関係)を重視したサービスの提供が求められており、直接処遇職員のローテーションは、基本的に当該ユニット内で固定されていることが望ましい。
3.したがって、ユニットの共同生活空間の壁を可動式にするなど、ユニットケアをそこなうおそれがあると考えられるものについては、ユニット型個室の特別養護老人ホームの構造として適切なものとはいえない。
■関連記事
・多床室併用の「一部ユニット型」特養、広島県、佐賀県でも
・一部ユニット型施設、省令改正で廃止へ――社保審レポ2