11月19日、「ソーシャルケア研究所」を主宰する本間清文氏のセミナーが開催された。「教科書が教えてくれないケアマネジメント術」について、本間氏ならではのユニークな視点、かつわかりやすい内容で、居宅ケアマネジメント術のあの手この手が紹介された。
セミナー内容は下記の通り。裏ワザが盛りだくさんで、思わず期待感が高まる。
●居宅介護支援サービスの概念
わかりやすい言葉でインフォームドコンセント
●連絡調整・介入の基本
サービス調整、医療他機関連携の裏ワザ
●ケアプランの根拠を考える
アセスメントの裏ワザ
●ケアプランの根拠を考える2
ニーズの分析
●ケースをいかにマネジメントするか
サービス担当者会議・モニタリングの裏ワザ
●マネジメント・ツールとしての記録
困難事例・記録の裏ワザ
●セルフマネジメント
セミナー導入から自らの実践を紹介。日本語がまったく通じない外国人のケアマネジメントを通訳を介して行っていたが、当初はまったくコミュニケーションがとれない状態だった。
教科書的には面接技術論やインテーク論になるところだが、そういった一般論が現場では通じないことの方が多い。このケースの場合もベクトルを、「まずは通訳と親密になり信頼関係を築く」としたことで、ようやくアセスメントができるようになったという。
本間氏が、この事例を通して伝えたかったことは、100人いれば100通りのやり方がある。ひとつのやり方が、ある人に対しては成功しても、別の人には通用しないということだ。答えは教科書にはなく現場にしかない。今日のセミナーでは、そのためのヒントを提供したいと語った。
本間氏の解説は、非常にわかりやすい。導入部のテーマ「居宅介護支援サービスの概念」では、アセスメントやサービス担当者会議、モニタリングといったケアマネの業務を「デート」に置き換えながら解説。
デートに誘ってOKされたら、その後どうするか。デート先の「下調べ」をするはずで、それがアセスメント。二人で芸術鑑賞を楽しんだあと、友人が経営するフレンチレストランに行くことに。それを成功させるにはどうするか。オーナーの友人と「打ち合わせ」するはずで、それがサービス担当者会議。こんな具合に解説は進んでいく。わかりやすい言葉でプロセスをとらえ直して利用者と家族に伝えることで、理解してもらいやすくなり、ケアマネジメントに対し協力的にもなるという。本間氏は業務を下記のように言いかえることを提案している。
●アセスメント→事前確認・下調べ
●計画原案作成→計画作り
●サービス担当者会議→打ち合わせ
●説明と文書による同意→なっとく・了承
●モニタリング→振り返り
例えば、サービス担当者会議の場合、利用者は「家で会議なんかしたくない」と抵抗感を覚えることが多いが、「打ち合わせ」なら抵抗感が薄れ協力が得られやすいという。
――ケアマネセミナーレポ(2)へ続く
■本間清文氏プロフィール
広島大学総合科学部卒業。特別養護老人ホーム・デイサービス・在宅介護支援センター・社会福祉協議会・居宅介護支援所などを経てソーシャルケア研究所を設立。中野区介護支援専門員部会副会長等歴任。著書に「教科書が教えてくれないケアマネ業務」「ケアプランの作り方 決定版」などがある。
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