ワーク・ライフ・「ケア」バランスの取れた社会に――遠距離介護セミナー(1)

離れて暮らす親のケアを考える会「NPO法人パォッコ」は、11月6日、東京・品川にて「今日から役立つ知恵とコツ。離れて暮らす親の介護TOKYO」を開催した。

プログラム第1部は、評論家でパオッコ名誉会員の樋口恵子氏による基調講演「遠距離介護のこれから――大介護社会の家族と介護」が行われた。

家族関係論を専門にし、早くから高齢社会に対してさまざまな提言を行なってきた樋口氏。講演は、少子化や婚姻率の低下など日本の家族の変化を見渡しながら、遠距離介護に象徴される家族と介護のこれからを論じる内容となり、随所に織り込まれたキーワードとユーモアあふれる語り口で、聴衆をひきつけた。キーワードに沿いながら、講演のエッセンスをお伝えする。

■ワーク・ライフ・ケア・バランス
平均寿命、高齢化速度、高齢化率のすべてで世界のトップを走る日本。なかでも樋口氏は、高齢化率に着目。「日本の23.3%は、他の先進国のデンマークやスウェーデンの17〜18%、フランスの14%と比べて突出して高い。それは日本では子どもが生まれないから。子どもを育てるために仕事をあきらめなくてはならない、介護のために仕事をやめなくてはならないのが日本の社会」と語る。

そこで、樋口氏が提唱するのが「ワーク・ライフ・バランス」にケア=子どものケア高齢者ケアをプラスした「ワーク・ライフ・ケア・バランス」。3つのバランスが取れた生き方とそれを可能にする社会が求められていると語った。

介護離職0(ゼロ)作戦・「ながら」介護のすすめ
介護保険の目的は家族の介護負担を軽減することで、介護保険だけで問題は解決できないと指摘。そこで、抜本的な介護休業制度の見直しを提案。「介護で退職せざるを得ない場合は、厚生年金の加入期間に組み入れることを提案したい。育休の短時間勤務も参考にしたい」。

そして、かつて樋口氏が責任者として参加した「男女共同参画会議・仕事と子育て両立支援専門調査会」のスローガン「待機児童0作戦」にならい、「介護離職0作戦」を提唱。「遠距離介護が困難になって退職するのは、40・50代の働き盛りの人。この人たちが退職して税収が減り、人材を失うのは、会社にとっても国にとっても損失です。

そこで、『ながら介護』を提唱したい。仕事をしながら老人介護、子育てしながら老人介護、課長になりながら介護。人間はひとつの色で割り切れるものではない。自分の人生の中に、仕事、家庭、介護、趣味…さまざまな色が共存でき、それを許容するのが質の高い社会です」。

■孤独でも孤立はさせない。介護は見守り
おひとりさま、無縁社会の象徴である孤独死。樋口氏は、孤独死とはひとりで死ぬことではなく、「生前の孤立をきわだたせるような死」と定義。「その人の尊厳が保てる状態で発見されれば孤独死ではない。孤独は耐え得るものだが、孤立は違う。孤立させてしまうのは社会の責任でもある」。

また、遠距離介護介護のひとつの姿として示唆的であるとし、「介護には、食事や排せつの介助だけではなく、その人を見守るという側面があります。人を孤立させない、誰かが関心を払う。そうしたつながりのある社会であれば、介護離職は減っていくはず。パォッコの活動は、見守りやまなざしという介護の基本に気づかせてくれた点でも、意義があるもの」と語った。

◎パオッコ

■関連記事
遠距離介護実態調査.2 −ケアマネに相談する人はわずか
・2012年改正へ向け与野党議員が決意表明――公開政策討論会レポート

介護食の基礎知識

介護のキホン

介護シーン別に基礎を知る

みんなが注目する基礎知識

要介護度とは?

要介護度とは?

介護度は7段階に分かれていて、要支援1・2、要介...

介護度別ケアプラン事例

介護度別ケアプラン事例

<要支援1>支給限度額49,700円、自己負担額...

デイサービス(通所介護)の選び方

デイサービス(通所介護)の選び方

デイサービスは曜日によって利用者が異なり、雰囲気...

家族で話し合おう

家族で話し合おう

家族で話し合おう...

介護用語を調べる

頭文字から探す

 
 
     
 
         
A B C D E F G H I J K
L M N O P Q R S T U V
W X Y Z              

キーワードから探す

このページのトップへ