ベストセラー『おひとりさまの老後』の著者、上野千鶴子氏と教え子の古市憲寿氏が老いや介護について問答する、『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります〜僕らの介護不安に答えてください〜』が、光文社から出版された。
この春、東大を退職した上野千鶴子・東大元教授。帯の名文句「これで安心して死ねるかしら」に対して、残された教え子・古市憲寿氏が「待った」をかけ、今回の出版のきっかけとなった。
親の老いや介護に不安を覚え始めた若者世代は、いくら親は勝手に死ねから関係ないと思っていても、いざとなったら関与せずにはいられない。さらに少子高齢化社会で、団塊世代による負の遺産を手渡されると感じている子世代の先行きは、この上なく不透明だ。
「だとすれば、僕たちが今からできる心構えを教えてほしい」と、古市氏は上野氏に問いかける。これに対し、「あなたたちの不安を分節しましょう。それは親世代の介護の不安なの? それとも自分たち世代の将来の不安なの?」と切り返す上野氏。話は介護の実際的な問題へのアドバイスから、親子関係の分析、世代間格差の問題、共同体や運動の可能性へと突き進む。
30歳以上歳の離れた2人の社会学者の対話をきっかけに、若者の将来、この国の「老後」を考える、ユニークな試みだ。
■目次:
上野先生、勝手に死なないでください!(古市から上野先生への手紙)
この本の読み方
第1章 何が不安なのか、わからない、という不安
第2章 介護という未知のゾーンへの不安
第3章 介護保険って何?
第4章 それより自分たちのこれからのほうが不安だった
第5章 少子化で先細りという不安
第6章 若者に不安がない、という不安
第7章 不安を見つめ、弱さを認めることからはじまる
古市くんへ(あとがきに代えて 上野からの返信)
■書名: 『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります〜僕らの介護不安に答えてください〜』
■著者:上野千鶴子、古市憲寿
■仕様:新書判・254ページ
■発行:光文社
■定価:798円
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