富士通ネットワークソリューションズ株式会社と岐阜県郡上市は、過疎地域の買い物弱者支援と地元商店の活性化に向け、ケーブルテレビの自主データ放送を活用した「買い物支援サービス」の実証実験を、9月1日より開始した。
岐阜県の中央部に位置する郡上市は、大半を占める中山間地域を中心に、近年高齢化や人口流出が進み、市の中心部から離れた地域では日常的な買い物が困難な住民(買い物弱者)が潜在する。一方、地元商店では買い物客の減少により商売の成立が困難になるなど、高齢化・過疎化の影響による課題が顕著となっている。
こうした状況を改善するため地元商店と連携し、市情報通信基盤である郡上ケーブルテレビの自主データ放送を活用することで、誰もが簡単に利用できる「買い物支援サービス」の実証実験を行い、事業効果について検証する。
郡上市では、今回の実証実験の結果を踏まえ、2012年度からの事業実施を検討。富士通ネットワークソリューションズは、実証実験で得られた結果を生活支援アプリケーションの検討にフィードバックし、地域課題解決に向けたサービスの実用化を目指すという。
日常の買い物が困難な「買い物弱者」は、高齢者が多く暮らす過疎地や高度成長期に建てられた大規模団地などで見られ、経済産業省では、全国で600万人程度と推計している。また、平野の外縁部から山間地を指す「中山間地域」は、国土面積の65%を占めていることから、今回の実証実験の結果が他地域でも生かされることに期待したい。
【実証実験の概要】
1)実験期間:2011年9月1日〜10月31日
2)実験規模(予定)
対象地域:和良地区、明宝地区、参加店舗:3店舗(両地区合計)、対象世帯:100世帯程度(両地区合計)
3)サービス内容
■自主データ放送および通信環境を利用した双方向型買い物支援サービス
各家庭にあるテレビに地元店舗の商品広告を配信する。
利用者(インターネット加入とテレビへの接続が必要)は、リモコン操作でデータ放送画面上から商品注文が可能(電話での注文も可能)。
■自主データ放送を利用した店舗商品広告配信サービス
・各家庭にあるテレビに地元店舗の商品広告を配信する。
・利用者(インターネットに加入していなくても利用可能)は、テレビの商品広告を見て電話で店舗に注文が可能。
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