ムーランルージュをご存知だろうか。元祖はパリにある大人の社交場としてのキャバレーだが、実は日本にも存在した。新宿の歴史昭和6年から20年間、戦前戦後を通して新宿で芸能文化の華を咲かせた“赤い風車”がそれだ。
そこは浅草オペラに対抗して大人気だった大衆演劇の場であり、芝居とレビューの殿堂として多くのファンを魅了した。「アイドル」と「バラエティー」はこの劇場から始まったといわれるほど、多くのアイドルや芸人を輩出した大衆劇場だった。
映画『ムーランルージュの青春』は、森繁久弥、有島一郎、由利徹、望月優子ら往年の名優らを輩出、故黒澤明監督も助監督時代から通っていたとされるこの劇場の魅力を、当時の出演者たちの証言や記録で綴った感動のドキュメンタリー。
監督は田中じゅうこう、出演者は明日待子、中村公彦、三崎千恵子、野末陳平、中島孝、楠トシエ、築地容子、森川時久、大空千尋、本庄彗一郎、藤枝利民、小峰葉子、宮里明見、奈良典子、小澤公平ほか。語りはラサール石井が務めている。
往年のアイドル、明日待子さん
17日に行われた初日舞台挨拶では、62年ぶりに銀幕復帰した明日待子さんが登壇。明日さんはムーランルージュで絶大な人気を誇った元祖「アイドル」。カルピスの「初恋の味」の初代モデルとしても知られる。
現在93歳の明日さんは、「芸事は舞台に立てなくなるまで現役です。92歳になって、93歳になっても、動けるうちは踊り続けますよ」と、年を重ねても青春時代と同じように人生を謳歌している様子を語った。
■上映館
新宿K’sシネマ