国民生活センターは、仏像の勧誘に関するトラブルについての注意喚起を行い、8月4日にHP上で発表した。
同センターによると、「他社が販売している仏像を当社が後から高値で買い取るので、購入してくれないか」というセールストークで勧誘する「劇場型」が目立つほか、震災に便乗して仏像の購入を勧誘するケースや、過去の因縁など不安をあおられて仏像などを契約させられる「開運商法」に関する相談もみられるという。
「仏像」に関する相談は、2006年度以降1,140件寄せられており、契約当事者は80歳以上と70歳代が約8割を占めている。センターが公開した事例によると、何度も支払いを求められて応じてしまったケース、家族が気づいたときはすでに契約ずみだったケースなど、高齢者の単身世帯や高齢者のみの世帯を想起させるものも。高齢者自身、家族や周囲の人が悪質な勧誘の手口を知っておくことで、未然にトラブルを回避することは可能だ。トラブルに巻き込まれた場合の対策も参考にしたい。
主な事例、消費者へのアドバイスは下記の通り。
【事例1】買い取りに応じない
自宅にパンフレットが送られた後、電話で「仏像を買えば買い取りする」という勧誘を受け、条件として社債の購入を勧められた。高額での買い取りを期待し、仏像2体を140万円で購入したが、買い取られなかった。その後再び業者から電話があり、仏像を外国で売るために買い取りするが、そのためには社債を購入する必要があると言われ、2口購入し、さらに2口の購入を勧められているが、もう資金がない。(長野県 男性 無職 70代)
【事例2】震災に便乗したセールストークで誘う
母のもとに、「震災で仏像を売却したい人がいる。価値あるものなので高値で売却できる」との電話があり、その後カタログも送られてきた。「震災で困っている人のためになる」と懇願され、仏像を3体購入。その後も同様の勧誘をされて4体を購入し、いずれも代金を支払った。さらに5体を購入する約束をし、業者が代金を受け取りに来ると言う。どうすればいいか。(岐阜県 女性 無職 60代)
【事例3】いらないと断ったのに仏像を送り付ける
数か月前仏像のパンフレットが送られ、興味がなかったので破棄した。その後、電話で勧誘され、断ると「パンフレットに同封した書面に返信がない」とこちらに問題があるように言われた。数日後、同じ業者から電話で再度勧誘され、断ったが、「仏像に名前を入れたので解約できない」と言われ、数日後、自宅に送りつけてきた。金額を見ると高額でびっくりしたが、送られたものは受け取って支払わなければいけないかとあきらめていた。しかし、家族に相談し、返品して支払いを拒否したいと思っている。この業者からは以前にも商品を勧誘され、購入したことがある。(長崎県 女性 自営業 80代)
【事例4】不安をあおって次々に契約させる
表札を変えないかと自宅を訪問され、印鑑・水子供養への話題へと発展。「水子供養をしないと不幸になる」と地蔵像の購入を勧められ、購入した。また、印鑑や表札も購入させられた。だまされた気もするが、買わないとバチがあたる気がして不安だ。(福井県・女性・70代)
■消費者へのアドバイス
1)必要がなければきっぱり断ること
業者からの勧誘電話に対して、「いりません」などとはっきりと断る意思を相手に示すこと。
2)家族や周囲に相談すること
少しでも不審に感じた場合や、業者の実態や契約内容がよくわからない場合は、一人で判断せず、家族や周りの信頼できる人や友人に相談すること。家族や近所など周囲の人も高齢者がトラブルにあっていないか日頃から見守る意識を持つことも大切である。
3)買い取ると勧誘されても絶対に信じないこと
不意に電話をかけ、高額な取引をもちかけておきながら、会社名や電話番号、所在地など自社の情報を教えようとしない業者の話は絶対に信用しないこと。また、「以前の損失を取り戻せる」などと言われても、業者の話を安易に信用しないこと。
4)届いてしまったら…
・訪問販売や電話勧誘販売の場合、クーリング・オフできる 。
・一方的に送りつけられた場合、受け取る必要はない。
心あたりのない宅配便や、勝手に送りつけられてきたものは安易に受け取らないこと。
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