株式会社NTTアドは、8月4日、6月8日〜10日に実施した「東日本大震災による生活意識の変化に関する調査」の結果を発表した。
同調査は、東日本大震災発生から数カ月が経過し、人々の生活意識や行動にどのような変化があったのかを把握することを目的としたもので、首都圏在住の20〜69歳男女500名を対象にインターネットで実施した。被災地支援のために行ったこと・今後行いたいこと、震災前と比べての購買意識の変化や、生活意識の変化などについて回答を求めたところ、震災後は、省資源や他者との関係強化といった社会との共生を意識する傾向が強くなっていることが分かったという。
調査の総括として、震災後、だれもが被災地の復旧・復興のために具体的な行動を起こし、募金や寄付といった特別な支援活動だけでなく、普通の消費・生活スタイルを見直すことで、無理のない範囲で持続的・長期的に被災地復興に貢献したいという機運が高まっていることが分かったとしている。さらに、震災を機に「自分のための消費」から、他者への思いやりを形にする「社会と共生するための消費」へと消費スタイルが変わっていくのではないかと結んでいる。
主な調査結果は、以下の通り。
■被災地で生産・加工された商品の購入で、長期的な支援を
「被災地支援のために行ったこと」では、「現金の寄付」が全体の70%と最も多く、男性50代、女性50〜60代では8割以上に達している。「被災地支援のために今後行いたいこと」では、「寄付金が含まれる商品の購入」が41%と最多で、女性30代では7割以上が選択。同じく41%で最多の「被災地で生産・加工された商品の購入」では女性50〜60代の約6割が選択している。震災直後は、寄付や募金といった形で支援を行う人が多かったが、今後は、日常の購買行動の中で長期的に被災地支援をしたいと考える人が多く、30代以上の女性にその傾向が強いことが明らかになった。
■消費活動の動機は、個人から公益性へ
「商品やサービスの選択基準として、震災前と比べて重視するようになったことは何か」」という質問では、「節電や節水、省エネになる」が全体の72.0%、「困っている人の手助けになる」が52.8%、「安全性が確保されている」が47.2%と上位を占めた。特に女性50〜60代の約9割が「節電や節水、省エネになる」を重視するようになったと回答。一方、「震災後にあまり重視しなくなったこと」では、「流行している」33.2%、「話のネタになる」24.6%、「デザインがよい」22.2%が上位だった。
「今後重視したいこと」でも、「節電や節水、省エネになる」「困っている人の手助けになる」「困っている人の励ましになる」が上位になり、「節電や節水、省エネになる」は女性50代の約7割が選択している。
震災後、普段の購買行動の中でも、話題性やデザイン性といった個人的な動機よりも、世の中のためになるかどうかといった公益性や利他的な動機が強くなっていると言える。
■社会意識や周囲への思いやりが高まる
生活意識や行動において、「震災後に心がけるようになったこと/今後心がけたいこと」は、ともに「モノや資源を大切にする」(57.2%/36.8%)、「社会問題に関心をもつ」(54.4%/29.4%)、「助け合いの精神を大切にする」(46.6%/30.8%)が上位だった。特に、男性50代、女性20〜30代、女性60代の7割以上が「モノや資源を大切にする」を心がけるようになったと回答している。また、「今後心がけたいこと」で、女性40代がもっとも多く選択したのは「家族や友人、知人との絆を大切にする」「世の中をよくするために自分が何ができるかを考える」で、ともに同率の36.0%だった。
■信頼度の高さではNHKテレビ。Twitterなどにも注目
普段の情報源について、「震災後に重視するようになったもの/信頼できる情報が多いと思うようになったもの/今後重視したいもの」を聞いたところ、「テレビ番組(NHK)」(50.0%/34.4%/32.6%)、「テレビ番組(民放)」(29.8%/13.6%/14.6%)、「新聞記事」(28.8%/18.0%/18.4%)と、いずれも同じ項目が上位を占めた。特に、女性50代以上の約6割が「テレビ番組(NHK)」を重視するようになったと回答。震災後は、テレビや新聞が持っている信頼性や情報の分かりやすさといった特性が評価されているようだ。また、被災地の安否確認や情報発信ツールとして話題になった「Twitter等のミニブログ」は、「重視するようになったもの」としては7位とだが、「今後重視したいもの」として4位にランクインし、今後も重要な情報源のひとつとして注目が集まることが予測できる。
シニア世代で「今後重視したいもの」としてあげたもので他世代に比べて多かったのは、男性60代は「個人のブログやプロフサイト」「You Tubeなどの動画共有サイト」、女性60代は「政府・自治体のホームページ」で、それまでインターネットになじみがなかったであろうシニアが欠かせない情報源として認識し出したことが伺える。
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