日本イーライリリー株式会社は、国内初の自己注射による骨形成促進剤「フォルテオ皮下注キット600μg(一般名:テリパラチド(遺伝子組換え))」を使用した患者507名を対象に意識調査を実施。この調査に併せて、現在自己注射による骨形成促進剤を処方していない整形外科医師375名を対象とした意識調査も実施し、8月3日にその結果を発表した。
調査の結果、9割以上の骨粗鬆症患者が自己注射による治療について、「難しくないので簡単に覚えられる」(71%)、「難しいが練習すれば覚えられる」(26%)と回答した。また、患者の約7割(66%)は、初回の通院1回のみで自己注射を習得していた。また、注射の痛みについても9割以上の患者が、「痛くなかった」(68%)、「痛かったが我慢できる」(30%)と回答し、「痛かったので我慢できない」という回答はゼロだった。さらに、自己注射の継続意向について尋ねたところ、「使い続けられる」と回答した患者は全体の約9割(88%)に達しており、回答者の約7割を占める70代以上の患者においてもすべて8割を超えていた。
一方、医師を対象とした意識調査では、自己注射は患者にとって難しい手技であり、高齢になるほど難度が増すと考えられている傾向が明らかになった。さらには、「患者が自己注射を受け入れてくれない」(74%)、「毎日治療を継続できない」(53%)、「高齢のため操作方法を忘れる」(52%)などの懸念があり、患者が高齢になるほど治療継続は「難しい」と推測している。
以上の調査結果から、自己注射による治療の導入および継続において、骨粗鬆症治療に取り組んでいる患者と医師の間には意識のギャップが存在することが明らかになった。
この調査結果について、日本イーライリリー株式会社 研究開発本部臨床開発医師 宗和秀明氏は「本調査によって、医師が懸念するほど、患者さんは自己注射に抵抗感がないことが示されました。80代以上の方でも9割の方が“難しくない”(61%)、“練習すれば覚えられる”(31%)と回答しておられます。また、多くの患者さんが1回の通院で前向きに自己注射治療を受け入れておられることは想定以上の結果でした。医師は、高齢の患者さんは、手技を覚えるのが困難、継続が困難と思いがちですが、この結果が新しい治療方針を検討するきっかけになればと思います」と述べた。
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