介護職員が安上がりにならないよう、報酬を――痰の吸引検討会レポ2

7月22日に開かれた第9回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会では、研修カリキュラム案について概ね合意を得た。主な内容は下記の通り。

【対象となる行為】
・たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)
経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養

介護福祉士の研修カリキュラム】※平成28年1月国家試験受験予定者以降
・基本研修(講義50時間+各行為の演習)を養成課程において実施
 ※養成課程の介護実習において、可能な限り、たんの吸引、経管栄養に関する見学・実地研修を行うよう配慮
・登録実施機関において実地研修を実施
 ※実地研修を受けていない行為を行ってはならない。なお、資格取得前に実地研修を修了している場合には、資格取得後の実地研修は不要

介護職員等(今、介護福祉士の資格を持っている人も含む)の研修カリキュラムの類型】
介護職員の業務の必要性に応じて、以下の3類型を設ける。
(1)たんの吸引、経管栄養について、対象となる行為のすべてを行う類型
 ・基本研修(講義50時間+各行為の演習)と対象行為すべての実地研修を実施
(2)たんの吸引(口腔内、鼻腔内のみ)、経管栄養(胃ろう、腸ろうのみ)を行う類型
 ※気管カニューレ内のたんの吸引、経鼻経管栄養を除いたもの
 ・基本研修(講義50時間+各行為の演習)と実地研修(気管カニューレ内のたんの吸引、経鼻経管栄養を除く)を実施
(3)特定の利用者に対して行う実地研修を重視した類型
 ※対象となる行為のうち研修を実施した行為について実施可能
 ・基本研修(重度訪問介護従事者養成研修とあわせて行う場合20.5時間。たんの吸引などのみの研修の場合9時間)と、特定の者に対する必要な行為についての実地研修

各委員からは、研修内容の質、評価・認定の質など、質の担保に関する質問、心配する声が挙がった。

因利恵委員(日本ホームヘルパー協会会長)は、「質を担保するために、認定の評価基準をしっかりしてほしい」と要望。また、桝田和平委員(全国老人福祉施設協議会介護保険委員会委員長)も、「評価する人の実地研修も必要。統一した評価ができる体制づくりを」とコメントした。

齊藤訓子委員(日本看護協会常任理事)の代理で出席した菊池氏は「介護職員等によるたんの吸引等の安全な実施体制整備に向けて」と題した意見書を提出。介護職員と看護職員が連携してたんの吸引などを実施する前段階として、医師や看護師が状態をみて判断するというプロセスが不可欠」、「不適切な事業所は登録取り消しとするなどの安全担保措置について登録要件に明記すべき」、「医療安全の基礎知識やヒヤリハット、緊急時の対応などについての職員研修を、たんの吸引などを実施する介護職員に限らず、職員全体に実施することが必要」など、安全性を担保するための仕組みについて提言した。

このほか、川原四良委員(UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長)からは、看護師に頼むと高く、介護職員は安いとなると、利用者は安いほうに頼む。介護職員の方が安上がりと思われると困るので、報酬上の仕組みもつけてほしい」と、報酬に関するコメントも挙がった。

介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会は、今回で結論を得て、今後、省令の公布に向けて準備が進められる予定。

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