厚労省は7月12日、2010年度の国民生活基礎調査の概況をホームページで公表した。
■同居する主な介護者の状況
介護者の状況では、「同居」が64.1%で最多。介護される人との続柄を見てみると、「配偶者」が25.7%、次いで「子」が20.9%、「子の配偶者」が15.2%と続く。男女別では、男性が30.6%、女69.4%。年齢別では、男女ともに「60〜69歳」がもっとも多いという結果だった。
以下、同居する主な介護者についての調査結果をとりあげた。
介護にかける時間を要介護度別にみていくと、「要支援1」から「要介護2」までは「必要な時に手をかす程度」が最多だが、「要介護3」以上では「ほとんど終日」がもっとも多く、要介護度が高いほど介護者の負担も大きい。
主な介護者に日常生活での悩みやストレスの有無についてたずねたところ、「ある」と答えた介護者は60.8%。「ない」は22.7%だった。悩みやストレスの原因では、男女ともに「家族の病気や介護」がもっとも多く、次いで「自分の病気や介護」。以下、女性は「家族との人間関係」「自由にできる時間がないこと」と続くが、男性は「収入・家計・借金など」「自分の仕事」となっており、介護者の状況や事情は男女で違いがあることがわかった。
■「何とかやっていける」うちは介護サービスを使わない傾向に
要介護者などの5月中の居宅サービスの利用状況では、居宅サービスを1種類でも利用した者は77.9%で、世帯構造別では、「単独世帯」が84.0%で最も高い。次いで「核家族世帯」「三世代世帯」となっている。
利用した居宅サービスの種類についても質問した(複数回答)。「単独世帯」では、「訪問系のサービス」が69.1%と最多。「配食サービス」の割合も13.4%と他の世帯構造に比べて高い。「三世代世帯」では、「通所系のサービス」が56.7%と最多だった。
全体の22.1%が5月中に居宅サービスを利用 していない。その理由は、「家族介護でなんとかやっていける」と答えたのが要支援者54.7%、要介護者52.1%。次いで「介護が必要な者(本人)でなんとかやっていける」が要支援者43.2%、要介護者18.0%だった。
家族(親族など)や訪問介護事業者が行なう16項目の介護内容について、介護者の組合せ状況を調べたところ、「事業者のみ」の割合が最も多いのは「洗髪」の63.4%で、「入浴介助」は63.1%、「身体の清拭」は45.3%だった。この3つ以外のすべての項目では、「主な家族など介護者のみ」による割合が多い。
このように事業者と介護者の役割分担がかなりはっきりしている中、「事業者と家族等介護者」とで行なう割合が高かったのが、「排泄介助」と「体位交換・起居」で、それぞれ24.7%、19.6%だった。
――独居・要介護の80代女性が増加――国民生活基礎調査概況(1)
■関連記事
・要介護になる主な原因は脳卒中が3割、認知症が2割――厚労省調査
・介護ストレス、「介護者自身の病気や介護」が3割――厚労省調査