カゴメ株式会社総合研究所は、近畿大学農学部の村上哲男教授との共同研究で、動物試験においてトマト漿液に、血糖値や血圧の上昇を抑制する効果があることを6月9日、発表した。トマトにはリコピンというカロテノイドが含まれ、生活習慣病に対する予防効果が知られているが、リコピン以外の成分を含むトマト漿液にも疾患を改善する効果が期待される。
トマト漿液とは、トマトジュースをろ過し沈殿物を除去した液で、主にトマト中の水溶性の成分を含んでいる。トマト漿液には、抗酸化成分であるリコピンは含まれていないが、アミノ酸やクエン酸をはじめとする成分が含まれており、本研究では、トマト漿液が高血圧や血糖値、血中インスリン濃度に与える影響を調べた。
その結果、トマト漿液により血圧の上昇が抑えられると共に、血糖値の上昇が抑えられることが明らかとなった。また、血糖値の上昇を抑制するにも関わらず、血中のインスリン濃度が低く抑えられていたことから、トマト漿液はインスリン抵抗性を改善することで血糖値の上昇を抑えていることが考えられた。
国内において糖尿病が強く疑われる人、もしくは糖尿病の予備群は約2,410万人と推定されている(平成20年度の国民健康・栄養調査)。糖尿病患者は高血圧などの疾患を併発するリスクが高く、合併症により心血管障害などの進行を促進することが知られている。
糖尿病の主な原因として、血糖値を調節するホルモンであるインスリンの分泌が悪くなったり、インスリン抵抗性があることが挙げられるが、食品によってインスリンの分泌や、インスリン抵抗性を改善出来れば、糖尿病や高血圧などの疾患を防ぐことが可能となる。今回の実験結果により、今後、トマト漿液の摂取により、インスリン抵抗性による糖尿病や高血圧を防ぐことが期待される。
■関連記事
・携帯電話で糖尿病の自己管理をサポート――富士通、アークレイ
・ご飯好きの女性は糖尿病になりやすい?――国立がんセンター調査