東京都生活文化局は、「浴室等に潜む危険に関するヒヤリ・ハット調査」の結果を5月26日に発表した。
日常生活で経験した「ヒヤリ・ハット」体験はどこへも情報提供されることなく、多数埋もれていることから、都では、危害危険情報を積極的に掘り起こすため、「ヒヤリ・ハット」調査を実施しているが、今回は、家の中でも様々な危険が潜む「浴室・トイレ」をテーマに調査を行った。
今回はその結果から、特に高齢者の事故も多い浴室の危険について紹介する。
■調査の概要:浴室でのヒヤリ・ハットや危害を男女4,000人にインターネットアンケート調査を行った。
■調査結果のポイント:
全般的な特徴を見ると、浴室等で63%の方がヒヤリ・ハット等を経験しており、なかでも「洗い場で滑って転倒」、「浴槽内で滑って転倒」が多い。いずれも32%の方が経験。ヒヤリ・ハット等の経験は、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で見られた。
60代以上の高齢者に関して、浴室でのヒヤリ・ハットで多かったものは、
1)壁面や浴槽内の取っ手のはずれ破損による転倒、
2)浴室用いすのすべり、破損による転倒
3)浴槽のふたからの転落、転倒
4)浴室入口の段差でのつまづき、転倒
5)洗い場でのすべり、転倒
と続き、手すりや浴室のいす、浴槽のふたなどの「用具」によるヒヤリハットが、高齢者の入浴で誰もが気をつけているであろう「入り口の段差」や「洗い場」でのヒヤリ・ハット経験を上回った。
なかでも高齢者の利用頻度の高い手すりや取っ手があるにもかかわらず、ヒヤリ・ハットを経験していることは興味深い。「手すりがあるから大丈夫」と安心していても、濡れた手などでつかんで滑ったり、取り付け自体に問題があり破損につながったりするケースが、思わぬ事故へつながることを物語っている。
これは2位のいすのすべり、3位のふたからの転落も同様で、「ふだんからやっているから」という過信が、重大な「家庭内事故」につながることを肝に銘じるべきであろう。