求人が充足する事業所の条件とは――セミナーリポート

社団法人シルバーサービス振興会は、5月18日、第230回月例研究会を都内で開催した。今回は東京都福祉人材センター人材情報室室長の中村孝一氏を講師に招き、「福祉介護分野における人材確保の動向〜福祉人材確保ネットワーク事業を通じて」をテーマに講義を行った。

東京都福祉人材センターは、福祉の仕事や資格に関する相談を行うとともに、都内の福祉施設や介護事業所等の求人の紹介や情報提供を行っており、全国の福祉人材センター、福祉人材バンクの求人情報を検索できるウェブサイト「福祉のお仕事」も運営している。

中村氏は最初に、福祉職の求人は景気による求人動向とは相反する傾向にあり、恒常的に人材不足の福祉職だが、世の中が不景気になるとリストラなどで職を失った人々が福祉業界に流れ込む現状を示した。

同センターの調査によると、福祉の職場が求める人材像は、1)意欲・熱意、2)チームワーク、3)向上心・自己研鑽・成長、4)協調性、5)明るい、6)法人や施設の理念・方針を理解、7)前向き、プラス思考、8)専門性(知識・技術)の向上・発揮、9)柔軟性(思考、対応等)、10)人権意識・人権感覚・権利擁護、というもので、いずれも能力というより人柄に拠るべきところが多いのが特徴。

一方、就職を希望する学生に見られる行動パターンとしては、新設施設志向(きれいな、新しいところで働きたい)、介護系より相談・指導職に就きたい(特に四大生)、PRの上手な企業に就職したい(イメージ重視)という傾向にあり、これに対して中村氏は、「生活相談員への希望は多いが、最初からなれるわけではなく、ほとんどの場合は最初の1年は現場でのケアワークが必須というところが多い」と語る。

一方、求人事業所にも、すぐに充足するところとそうでないところがあり、その傾向は以下の通り。

【求人が充足しつつある事業所】
・経営内容が良い
・交通の便が良い
社会福祉法人
・計画的な職員採用
・研修制度が充実

【求人充足が依然困難な事業所】
・経営内容に問題がある
・交通の便が悪い
・零細事業所(主に営利法人)
・欠員補充中心
・研修制度が未整備

同センターでは、優れた人材を確保しやすくするために「福祉人材確保ネットワーク事業」を行っており、後半のその詳細について解説した。同事業は、当京都社会福祉協議会の会員組織としてのネットワークを生かした事業で、人材の掘り起こしに奏功しているという。

なかでも、魅力ある業界づくりのアピールや合同採用試験による応募者の質の確保、合同研修による仲間作りで早期離職を防止、人材流出の防止などの効果を上げている。実際、合同採用試験へのエントリー数は500人以上あり(2009年 569人、2010年 559人)、参加法人(求人事業所)も100カ所を超えている。

求職者からは、複数受験機会が得られることや東社協への信頼感、優良法人が参加していることの安心感などが高く評価されているという。
中村氏は、優秀な人材確保のためにも、事業者へ「福祉人材確保ネットワーク事業」への積極的な参加を呼びかけた。

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