5月23日に行われた日本在宅介護協会東京支部の5月セミナーでは、シンポジウムの最後に、それぞれのシンポジストから、地域包括ケアを踏まえて何が必要か、一言ずつ意見が述べられた。
中澤伸氏(社会福祉法人いきいき福祉会副総合施設長、元川崎地域包括支援センター調整課長)は、「居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして、地域包括ケアにどうかかわるか、ちゃんと腑に落ちているか」と問いかけ、1)システムの一員としてマネジメントの質を向上させること、2)市町村と一緒に考えていくこと、3)自分の経験を自分のもののみにせずに、学会や職能団体に参加し、共有すること――といった、「かかわり方を考える、大事な時期」であると訴えた。
板垣恭子氏(日生薬局介護支援事業部管理者)は、キーパーソン不在の独居高齢者を在宅でみることが大切であると述べた上で、「ケアマネジャー不要論がささやかれるなかで、剤言論からも、在宅でみることができれば、ケアマネジャーの存在価値が上がる」と指摘。
また、高砂裕子氏(日本ケアマネジメント学会理事、認定ケアマネジャーの会副会長)は、これまでに在宅で訪問看護師、ケアマネジャーとして関わった事例を紹介するとともに、「地域のなかでその人が自分らしく生きていくための選択肢が広がればいいと思っています」と展望を述べた。
このほか、前半の基調講演では、厚生労働省老健局振興課長の川又竹男氏が、東日本大震災の震災対応について話し、「介護保険の“功罪”」として、「市町村の役割」を反省点として指摘する一方で、「介護保険でケアマネジャーがいたということが良かった点。今回の地震でも安保確認やサービスの継続のために走りまわってくれていた」と、ケアマネの存在の重要性について言及した。
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