ユニット定員は12人以下に緩和?――都の特養あり方検討会レポ2

4月21日に開催された、東京都特別養護老人ホーム施設整備等のあり方に関する検討委員会では、東京都福祉保健局から提示された「平成22年度のまとめ」案に対して、委員からヒアリングが行われた。

意見が集中したのは、一つは、ユニットの定員数について。
現行基準では、1ユニットの入居定員は「おおむね10人以下」とされているところを、今回の独自基準では「12人以下としなければならない」と緩和された。

これに対して、近藤常博委員(社会福祉法人聖風会特別養護老人ホーム千住桜花苑施設長)は、「たんの吸引や胃ろうに関する研修を受講したのは、都内ではまだ170施設ほど。たんの吸引はいつ何時発生するかわからないが、定員は10人でなくていいのか、もう一度検討していただきたい」と意見。

さらに、「実際は、職員は(国の人員配置基準の)1.5倍以上配置されている。持ち出しの部分が非常に多くなるので、後方支援があれば嬉しい」と加えた。

また、鈴木みな子委員(浦和大学総合福祉学部総合福祉学科非常勤講師)も、「行政が示す基準は最低基準なのだろうけれど、東京のモデルのように見られてしまう。あるべきモデルと最低基準とのギャップが見えずらく、(基準を)出す方と使う方の思いにギャップが生じる」と、緩和された基準が“モデル”と見られることの危険性を指摘した。

このほか、従来型の転換、ユニット化と個室化の関係についても意見が集中した。

古賀誉章委員(東京大学大学院工学系研究か助教)は、「ユニット化と個室化はやり方も効果も違う。小グループにすることで、驚くくらい症状が改善することを経験しているし、4人部屋を個室にするのは非常に難しい」と、個室化まで求めなくても、まずはユニット化することに意味があるのではないかと示唆。

近藤委員も、「『ユニット化=個室』のイメージになっているが、居間や食堂に集って一緒に活動することが大事」と同調した。

また、社会福祉法人練馬豊成会特別養護老人ホームフローラ石神井公園主幹の中山栄子委員も、「私どもも従来型で、急に変えると入居者さんも職員も戸惑う。そこに至るまでのステップを示していただいた方が、現場の職員にもわかるだろう」と述べた。

さらに、従来型に対して、東京都独自基準では、「定員が2人以上のときについては、入居者のプライバシーに配慮するとともに、容易に個室に転換できるよう設計上の工夫に努めること」と補足されたことを受けて、「厳しく規定するのであれば、(補助対象を)従来型3割を上限としなくてもいいのではないか」との意見も挙がった。

今後は、利用者の居住環境整備のために取り組んでいる工夫に関するアンケートを実施。その結果と、施設見学の内容を踏まえて、議論を行い、9月に事例集をまとめる予定だ。

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