総合医療メディア会社の株式会社QLife(キューライフ)は、大震災が全国の医療現場へ与えた影響の実態調査結果を4月8日に発表した。この調査はインターネット経由で実施され、東北6県と茨城県を除く全国の20〜60代の医師402人(病院勤務医245人、診療所開業医157人)から回答を得た。
それによると、大震災の影響で医薬品不足を心配する声は、首都圏と首都圏以外とではほとんど差がなく、全国で7割の医師が自分の患者への医薬品不足の可能性を指摘した。具体的には、以下のような医薬品の不足を懸念した。
・チラーヂン(甲状腺の障害や手術などにより不足している甲状腺ホルモンを補う薬)30%
・漢方薬 15.9%
・ディナゲスト(子宮内膜症などに用いられ、卵巣機能抑制および子宮内膜細胞の増殖を抑制する薬)15.7%
・エンシュア(たん白質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルを総合的に配合し、栄養補給に用いられる薬) 11.2%
また、医薬品不足以外でも、様々な不安に医師は直面していることが分かった。
具体的には、「停電」「人員不足」「患者増減」「放射能」「水・食料不足」「施設改修費用」など。特に計画停電実施地域やその近接地域では、停電関係の混乱を心配する声が圧倒的に多かった。
それらの不安要素の解消は困難な様相を呈しており、特に「停電」「人員不足」関係では、具体的な手立てがなく「耐えるしかない」と考える医師も半数近くに上った。
一方で、8割の医師が、被災地の医療支援に「行きたい」と考えている。ただし、実際に行動に移したりその可能性が高い医師は12%に留まり、なかなか自分の現場を離れることは難しいようだ。被災地の医療を支援するため、義援金・寄付などは広く行われており、「長期処方」「被災地からの患者受け入れ」を行う医師も2割を超えた。
また「大震災のような災害への備えとして、新たに知りたくなった情報」としては、「医薬品・電力の確保」に関するもののほか、「限られた医療資源で対応するノウハウ」といった現場で役立つ知識が求められている。
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